若手研究者の任期、原則5年以上に 文科省が改革プラン
柴山昌彦文部科学相は23日、日本の研究力向上に向けた改革プランを公表し、任期付き雇用の若手研究者の任期を原則5年程度以上に延ばす方針を示した。若手の研究者が一定期間、安定した身分で研究に取り組める環境を整える狙い。ただ、任期の長期化は研究プロジェクトの公募要件などで促す形にとどまるため、実効性をいかに確保するかが課題となる。
文科省傘下の科学技術振興機構(JST)などが公募する研究プロジェクトの要件を2020年度から順次変更し、プロジェクトで雇用する研究員の任期の目安を5年程度以上に延ばす。プロジェクトの研究だけに専念する義務も緩和し、若手が自らの研究活動にも一定程度取り組めるようにする。
文科省科学技術・学術政策研究所の15年度の調査によると、任期が3年未満の博士研究員(ポスドク)が全体の3分の2を占め、短期雇用の不安定な状況にある。若手研究者が研究に意欲的に取り組める環境を十分に整備できておらず、日本の研究力の低下を招く一因とされている。
文科省は若手の雇用を安定させることで、研究者を志して博士課程に進学する学生の増加にもつなげたい考え。ただ、大学などに任期の長期化を強制できるわけではないため、どこまで実効性があるかは見通しにくい。