ファーウェイ、1~3月期は39%増収、米国排除も
【広州=川上尚志】中国通信機器最大手の華為技術(ファーウェイ)が22日発表した2019年1~3月期決算は、売上高が前年同期比39%増の1797億元(約3兆円)だった。中国や欧州でスマートフォン(スマホ)の販売が好調だったほか、次世代高速通信「5G」通信用の基地局の出荷も伸びた。米国は同社の通信機器の排除を呼びかけているが、米国以外は依然、好調が続く。
ファーウェイは非上場で通期の業績は開示しているが、四半期の業績を開示するのは今回が初となる。米国から厳しい目を向けられる中、経営の透明性をアピールする狙いがあるとみられる。
1~3月期の売上高の伸び率(39%増)は、18年12月期の通期の19.5%増を大きく上回った。純利益は、具体額は公表しなかったが、売上高に占める比率は8%で、18年1~3月期に比べやや高い水準だったとしている。
最も業績の伸びをけん引したのがスマホだ。1~3月期の世界出荷台数は5900万台で前年同期に比べ約5割増えた。中国のほか欧州で好調だった。米調査会社カナリスのアナリストである賈沫氏は、好調の要因について「ファーウェイは18年に米国スマホ市場への進出を断念し、その余った資金を米国以外の市場に効果的に投入した」と分析する。「例年1~3月はスマホの出荷量が少ないにもかかわらず好調だったため、今後も勢いは続く」と指摘した。
5G用の基地局の出荷も伸びた。3月末時点で延べ7万局の基地局を出荷し、2月末時点から、1カ月間で2万5千局増やした。5Gの商用化に関する通信会社との契約は3月末で40件となり、欧州や中東、アジアなどで受注を広げた。
ファーウェイの胡厚崑(ケン・フー)副会長兼輪番会長は16日に開いた事業方針説明会で「通信会社による5Gの投資はこれから本格化する」と説明しており、今後も各国の通信会社に通信機器を売り込む考えだ。
一方、米国は安全保障上の懸念を理由に、各国にファーウェイの通信機器の排除を呼びかけている。同社にとって主力市場の欧州でも、製品の採用の是非について意見が割れている。排除の動きは今後広がる可能性があり、好調な業績を維持できるか不透明感もある。
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