維新、追い風再び 大阪12区補選 「力以上の期待受けた」
「維新」が今回も強さを見せつけた。21日投開票の衆院大阪12区の補欠選挙。日本維新の会の新人候補が、自民党などの3候補を抑えて初当選を決めた。大阪府知事・大阪市長のダブル選や府市両議会選に続き、国政選挙でも有権者の強い支持を獲得した維新。一方、自民は連敗となり、夏の参院選に向け焦りを募らせた。
当選を決めた維新新人、藤田文武氏(38)の大阪府寝屋川市内の選挙事務所では21日夜、支援者約50人が「やったー」と喜びの声を上げ、ハイタッチを交わした。支援者の前に現れた藤田氏は「私の力以上に期待をかけてもらい、心から感謝します」と深々と頭を下げた。
勝因を聞かれた藤田氏は「(ダブル選など)前半戦での維新への期待がそのまま後半戦の力になり、総力戦でもぎ取った結果だ。勢いを止めてはならないという使命感もあった」と振り返った。「大阪都構想」については「住民投票をするのが党の方針。一翼をしっかりと担って頑張りたい」と語った。
事務所に駆け付けた維新の馬場伸幸幹事長は「(藤田氏は)実績はまだなく、今回の勝利は期待の民意だ。ふわっとした民意はいつ消えてしまうか分からない」と真剣な表情。夏の参院選に向け「大阪でやってきた改革を関西、全国に広げていく」と訴えた。
藤田氏の選挙戦では地域政党、大阪維新の会の松井一郎代表(大阪市長)や吉村洋文政調会長(大阪府知事)も応援に駆け付け、府市一体で取り組んだ改革の実績を繰り返し説明した。
「弔い合戦」自民及ばず
元環境副大臣の北川知克氏の死去に伴い出馬した、おいで自民新人の北川晋平氏(32)。知克氏の遺影が飾られた大阪府寝屋川市の選挙事務所は21日夜、「弔い合戦」での敗北に重苦しい雰囲気に包まれた。
支援者から「よくやった」「頑張ったよ」と声をかけられた北川氏は目に涙をため、「おじの遺志を引き継ぐ決意だったが、応援に応えることができず本当に申し訳ない」と深々と頭を下げた。
自民は告示日の9日以降、小泉進次郎厚生労働部会長ら知名度の高い大物が相次いで来阪。選挙戦最終日の20日には安倍晋三首相や麻生太郎副総理兼財務相が駆けつけ推薦した公明党も太田昭宏前代表がマイクを握った。
総力戦を展開しただけに、敗北のショックは大きい。自民府連幹部は「今夏の参院選に向け立て直したいが、短期間では難しい。いつまで負けが続くのか……」と頭を抱えていた。