液体ミルクを期限前に廃棄 北海道日高町、道の通知受け
昨年9月の北海道地震で被害を受けた日高町が、支援物資として受け取った乳児用液体ミルクを、道の「日本では使用例がなく、衛生管理が難しい」との通知を受け、賞味期限前に廃棄していたことが21日までに分かった。ほかの町でもほぼ使われないまま期限を迎え、廃棄するなどした。
液体ミルクは海外で幅広く使われ、3月には日本でも店頭販売が開始。特に災害時に役立つとされ、識者は普及やルール作りの必要性を指摘している。
支援の液体ミルクは東京都から提供され、フィンランド製で計1050本。日高町を含む道内の5町は、道を通じて地震5日後の昨年9月11日、それぞれ180~330本の提供を受けた。全て賞味期限は昨年11月24日だった。
道の通知では「衛生管理が難しい製品」などとして、水がなく粉ミルクを使えない場合の活用を想定。日高町では昨年10月までに他の支援物資の整理とあわせて処分し、担当者は「道の通知もあり、間違って使わないように捨てた」と話す。安平町では「キケン!飲むな」と張り紙して倉庫に保管した。
各町によると、使用したのは厚真町で1本だけ。いずれも期限前に他の町に渡したり、期限を迎えて処分したりした。道の担当者は「管理は各町に任せていた。利用を控える趣旨と受け取ったようだが、そういう意味ではなかった」と釈明している。
液体ミルクは常温で保存でき、沸騰させた湯に溶かして冷ます調乳の手間がないため、災害時の活用が期待されている。日本乳業協会(東京)は「地震直後は液体ミルクが国内で発売前だったこともあり、粉ミルクの方が使いやすい面があった。ただ、双方とも同等に使って問題ない」としている。
育児に詳しい名古屋大大学院の浅野みどり教授(小児看護学)は「期限前の廃棄はもったいなかったのではないか。普及途上の商品なので乳幼児健診の際に試飲できるようにしたり、貧しい家庭に提供したりと、活用するすべはあったと思う。資源を無駄にしないよう、行政はルールの策定を急ぐべきだ」と話している。〔共同〕