「組織罰」導入改めて強調 JR脱線事故遺族ら講演会
2005年のJR福知山線脱線事故から25日で14年となるのを前に、大規模事故の遺族らでつくる「組織罰を実現する会」が20日、死亡事故で法人の責任を問う「組織罰」の導入を目指して兵庫県川西市で講演会を開き、参加した遺族は組織としての法人を処罰する仕組みが必要だと改めて強調した。
脱線事故で長女を亡くした大森重美さん(70)は、事故を巡り業務上過失致死傷罪に問われたJR西日本の歴代3社長らの無罪が確定したことを踏まえ「大事故でも誰も責任なしでは、遺族として納得いかない。誰も責任を取らない無責任社会を変えて、事故のない安全な社会を目指したい」と訴えた。
12年に山梨県の笹子トンネル天井板崩落事故で長女を失った松本邦夫さん(68)は、組織罰の在り方について「被告となる法人に安全対策の立証責任を負わせることで法人が(情報開示に)積極的になり、事故原因が明らかになる」と述べた。
この日は安部誠治関西大教授(交通政策論)も講演し、1991年の信楽高原鉄道事故の遺族らでつくり、6月に解散予定の「鉄道安全推進会議(TASK)」の活動が現運輸安全委員会の設立につながった経緯を振り返り「何があったのか知りたいという遺族の気持ちは強く、そのためにも事故原因を追究することは重要だ」と話した。
兵庫県尼崎市では地元のNPO法人が「4.25忘れない!メモリアル市民の集い」を開き、市民ら約30人が黙とうをささげた後、列車が衝突した現場マンション前を訪れて千羽鶴を供えた。代表の礒田洋一さん(78)は「事故直後、消防が駆け付ける前に地元住民が救助に当たり、多くの命が助かった。災害や事故に対して傍観者になってはならず、経験を語り残し続けたい」と述べた。〔共同〕
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