北海道の2040年人口、5分の1世帯が独居高齢者に
国立社会保障・人口問題研究所が19日に公表した世帯数の将来推計によると、北海道では全世帯のうち世帯主が65歳以上の高齢世帯の割合が2040年に47.8%と全体の半数に迫る見通しだ。少子高齢化が加速し、15年の36.9%から大きく上昇する。5世帯に1世帯が独居高齢者になる計算で、全国を上回る速さで進む北海道の人口減の影響が色濃く出そうだ。
推計は15年から5年ごとに40年までを見通したもので、世帯数は15年の243万世帯から減少を続け、40年には15年比14.4%減の208万世帯になりそうだという。一人暮らし世帯の増加によって、15年に2.13人だった平均世帯人員も40年には1.93人と2人を下回る見通し。これは全国でも東京都に次いで少ない水準だ。
一方、世帯主が65歳以上の世帯数は15年と比べて10.9%増え、40年には99万世帯となる見通し。このうち75歳以上は33.6%増の57万世帯となり、高齢世帯のうち58%と半分以上を占める。
さらに、65歳以上の高齢者が一人で暮らす世帯は40年に32.1%増の42万となる。5世帯に1世帯が「独居高齢者」になれば社会保障費の増加で現役世代のコスト負担は増え、労働力の確保も難しくなるのが避けられない。
全世代における一人世帯は全体の37.3%から41.7%に増える。一方、かつては家族の標準モデルともされていた「夫婦と子ども」世帯は22.7%から19.7%に減り、2割を切って全国でも2番目に少ない水準となる。
こうしたいびつな世帯構成に陥る主因は、止まらない少子化だ。厚生労働省によると、道内の合計特殊出生率(1人の女性が生涯に産むとされる子供の数)は全国で2番目に低い1.29にとどまっている。道内の若者を対象に道が実施した調査では未婚者の8割に結婚願望があっても、子育てについては半数以上が経済面での不安を抱えている。子育て環境の充実は喫緊の課題だ。
転出者が恒常的に転入者を上回る社会減も、北海道の高齢化が加速する一因だ。若年層を中心に故郷を離れ、道外で暮らす人が増えている傾向も影響している。経済や健康面で不安を抱える一人暮らしの高齢者が増えるのに備え、地域での見守りや民間サービスの強化・拡充が求められる。若者を対象とする道内への移住促進も、さらに進める必要がある。
(塩崎健太郎)