米ブラックストーン、会社形態に移行 株価てこ入れ狙い
【ニューヨーク=宮本岳則】米投資ファンド大手のブラックストーン・グループは18日、出資者による組合組織である「パートナーシップ」制から、一般的な上場会社形態に移行すると発表した。上場投資信託(ETF)運用会社や年金基金など機関投資家が買いやすくなるほか、トランプ政権が導入した法人税引き下げの恩恵を受けられるようにする。市場全体に比べ出遅れ気味の株価をテコ入れする狙いがありそうだ。
7月1日付で一般的な上場会社形態へ移行する。ブラックストーンは1985年、現最高経営責任者(CEO)のスティーブン・シュワルツマン氏ら少数のパートナーシップ制によって設立された。18年末時点の運用資産総額は4720億ドル(約51兆円)に達し、未公開株やインフラ、不動産に投資するファンドとしては世界最大規模だ。2007年の上場後もパートナーシップ制を維持し、一般投資家が買えるのは経営権を持たない「リミテッド・パートナー」の持ち分証券だった。
パートナーシップ制は機関投資家による購入の妨げになっていた。保有株主は追加的な税務報告が必要になるからだ。ブラックストーンの場合、上場投資信託(ETF)など指数連動型ファンドや、長期に買い持ちする年金などの保有が少なかった。シュワルツマンCEOは「幅広い投資家に買ってもらったり、保有してもらったりできるようにする」と述べた。
株式市場ではETFなど指数連動型ファンドの影響力が大きくなってきた。米調査会社モーニングスターによると、米大型株に投資するファンドの内訳で、指数連動型ファンドの資産規模が、人間が銘柄を選択する「アクティブファンド」の規模を上回っている。ブラックストーン株の過去5年の運用収益はS&P500種株価指数を下回る。業績は拡大基調が続いているだけに、会社側は投資家の購入制限が上値の重さにつながっているとみているようだ。
会社形態の移行で、トランプ政権の実施した税制改革の恩恵を受けられるようにする。法人税はすでに35%から21%に引き下げられ、上場企業の収益向上に大きく貢献していた。同じ投資ファンド業界のライバル、コールバーグ・クラビス・ロバーツ(KKR)が18年に会社形態に移行したこともブラックストーンの背中を押したようだ。18日の株式市場では、ブラックストーン株が前日比6%超高まで買われる場面があった。