米中、5Gでけん制合戦
米、セキュリティーで連携呼びかけ 中、エリクソン調査
【大連=渡辺伸】次世代通信規格「5G」を巡り、米中が互いをけん制する動きが過熱している。米国は5月の国際会議で同盟国にサイバーセキュリティー政策で協調を呼びかける方針だ。中国の通信機器最大手、華為技術(ファーウェイ)排除を念頭に置いたものとみられる。一方、中国は5Gでファーウェイの競合であるスウェーデンのエリクソンに対して知的財産権を巡る調査に入った。ファーウェイ排除の対抗措置とみられる。
米国はチェコの首都プラハで5月上旬に開かれる通信の国際会議で、中国の通信機器メーカーが中国政府から支援を受けている点などを考慮するように外国の政府や通信会社に促す。ロイター通信が15日報じた。中国企業の製品調達を事実上禁じるための方法も教えるが、ファーウェイの名指しは避ける見通しだ。
同会議は欧州連合(EU)や北大西洋条約機構(NATO)加盟国などが参加する。中国やロシアは招かれていない。
中国で企業を監督する国家市場監督管理総局はエリクソンの北京オフィスの調査を始めた。エリクソンの広報担当者は16日、日本経済新聞の取材に「中国での知的財産権を巡る当社の活動に対する抗議のためだ。調査には全面協力する」と述べた。一方、国家市場監督管理総局の報道担当者は「具体的な状況は把握していない」と語った。
米紙ウォール・ストリート・ジャーナルによると中国側の調査員は約20人で12日に調査した。
5Gを巡り世界の基地局メーカーではエリクソン、ファーウェイ、フィンランドのノキアが競っている。米国は5Gでファーウェイ排除を求めるが、欧州などでは慎重な姿勢をみせる国もある。