「貿易障壁は自傷行為」IMFラガルド専務理事
【ワシントン=後藤達也】国際通貨基金(IMF)のラガルド専務理事は11日、記者会見し「我々は関税や貿易障壁を含む自傷行為を避ける必要がある」と述べた。自由貿易が過去数十年の経済成長を支えたことを強調し、最近の保護主義を「誤った政策」と批判した。そのうえで「(自由貿易という)成長エンジンを修復すべきだ」と述べた。
11~12日の20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議や12~14日のIMF・世界銀行総会の開催に先立って会見した。
ラガルド氏は世界経済の状況について「非常に不確実だ」と述べた。貿易摩擦のほか、企業や政府の債務や英国の欧州連合(EU)離脱問題をリスクに挙げた。英EU離脱期限が延期されたことについては「延期されただけで解決ではない。不確実な状況は続く」と述べた。
財政赤字の拡大を容認する現代貨幣理論(MMT)が米国で論争になっていることについて、ラガルド氏は「MMTが万能薬だとは思っていない。非常に限られた状況においてしか機能しない」と懐疑的な見方を示した。