米銀大手トップの主な証言 「英の合意なき離脱に備え」
【ニューヨーク=伴百江】JPモルガン・チェースなど米大手金融機関の最高経営責任者(CEO)7人は10日、米議会下院金融サービス委員会の公聴会に臨んだ。質疑のトピックは、米銀の事業規模の問題から銃規制、英国の欧州連合(EU)離脱、サイバーセキュリティーまで多岐に渡った。声明文や質疑での主な発言は以下の通り。
「規模が大きすぎて、経営管理ができていない」批判について
シティグループのマイク・コルバットCEO「事業部門の数を70まで減らすことで、事業運営がしやすくなった」
JPモルガンのジェイミー・ダイモンCEO「これまで17の事業を削減した」
中小企業の成長を支える融資
ゴールドマン・サックスのデービッド・ソロモンCEO「過去10年間に中小企業1万社に総額50億ドルの融資を実施した」
バンク・オブ・アメリカのブライアン・モイニハンCEO「中小企業の顧客口座は900万に達し、昨年年間で総額80億ドルの中小企業向け融資を実施した」
英国のEU離脱への備え
ゴールドマンのソロモンCEO「『合意なき離脱』が起こった場合の備えをしている。米銀経営にとっては試練だが、金融システム不安につながることはない」
シティのコルバットCEO「バックオフィスやミドルオフィスなどを中心に英国の証券業務の一部をドイツのフランクフルトに移した」
バンク・オブ・ニューヨーク・メロンのチャールズ・シャーフCEO「複数の英国事業や従業員をベルギーに移した」
銃製造会社への融資と企業の社会的責任
JPモルガン・チェースのジェイミー・ダイモンCEO「我々が融資した銃メーカーは米軍や警察という重要な組織にも銃を販売している。しかし、銃メーカーとのビジネスで責任あるポリシーを正式に導入することを検討する」
経営におけるダイバーシティー(人材の多様性)
バンカメのモイニハンCEO「過去3年間に当社従業員の50%は女性、40%超の管理職が女性になった。白人以外の従業員は45%、管理職で37%になっている」
ゴールドマンのソロモンCEO「昨年、女性経営者による企業向けに総額5億ドルの投資計画を発表した。このプログラムを有色人種の経営者向けにも拡大する予定」
CEOと従業員の報酬格差について
シティのコルバットCEO「(経営トップの報酬は従業員の486倍に達するとの指摘について)私にそれを評価させるのは公平ではない。私の報酬は取締役会が決定するものだ」
JPモルガンのダイモンCEO「(米銀への法人減税は半永久的に続くが個人への減税は失効するのは不公平との指摘に対して)法人減税は米国の競争力を高め、それが賃金や労働市場の拡大につながる」
金融システム上の潜在的なリスク
JPモルガンのダイモンCEO「年間6億ドルをサイバーセキュリティーのために投じている。サイバーセキュリティーは世界の金融システムにとって最大のリスクだ」
ゴールドマンのソロモンCEO「(当局の規制が厳しい銀行を介さずに資金をやり取りする)シャドーバンキングや、上場投信(ETF)などのインデックス商品の広がりはリスクだ」
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