トルコ政府、国営銀行に5500億円資本注入
【イスタンブール=木寺もも子】トルコのアルバイラク財務相は10日、280億リラ(約5500億円)相当の国債を発行し、債券の形で国営銀行に資本注入すると発表した。2018年の通貨危機後、貸し出しに占める不良債権比率が高まっている国営銀の財務を改善する。同日発表した経済改革計画の中で明らかにした。
18年にリラが急落して個人消費や投資が落ち込むと、政府は国営銀行などに低金利の融資などを促して景気を下支えしてきた。しかし18年10~12月期の成長率が前年同期比マイナスに落ちこむなど景気低迷に直面し、民間を含む国内の銀行セクターの不良債権比率は4.2%まで高まった。実際の同国の不良債権比率はさらに大きいとの指摘もある。
アルバイラク氏は記者会見で「金融セクターの強化は優先課題だ」などと強調した。国営銀行3行のうち、どの銀行を資本注入の対象とするかは明らかにしなかった。
発表を受け、国営ハルク銀行株は一時、前日比4.4%上昇し、同ワクフラル銀行株は1.3%上昇した。リラは小幅な値動きを続けている。今回の資本注入がどこまでトルコ経済の立て直しに効果を発揮するのかは不透明だ。
アルバイラク氏は経済改革計画の中で、税制改革や年金制度改革、食料インフレ対策についても言及したが、詳細は今後発表するとしている。
関連企業・業界