みなとみらい21熱供給 MMの冷暖房30年支える
Biz Movement
横浜市のみなとみらい(MM)21地区にある大型複合施設「クイーンズスクエア」の上空に、白い煙が上がっているのを見たことがある人も少なくないだろう。正体は、地下で24時間稼働している熱供給プラントからの蒸気だ。みなとみらい21熱供給(横浜市)は周辺のビルやマンションなどの冷暖房を一手に引き受けている。
3月末で供給開始から30年を迎えた。1989年に横浜博覧会と横浜マリタイムミュージアム(現横浜みなと博物館)の冷暖房を担ったのを皮切りに、現在はMM中央地区のほぼ全施設をカバーする。13日に全面開業する資生堂の新研究所「グローバルイノベーションセンター」への供給も決まり、供給先数は50施設に達する。
クイーンズスクエア地下にあるのは第2プラントだ。センタープラントはJR桜木町駅近くの本社内にある。プラント内には世界最大級の冷凍能力を持つ電動ターボ冷凍機や巨大なボイラーなどが並ぶ。稼働状況は中央監視室で24時間管理し、東日本大震災など災害時を含め、熱供給が止まったことはないという。
熱は地中に張り巡らせた導管で各施設に供給する。冷房はセ氏6度の冷水を、暖房は同170度の蒸気をそれぞれ送る。
地域の冷暖房を一括管理することで、各施設はコスト減のほか、熱源設備などの設置が不要になる。煙突や室外機も必要なくなり、街の景観美化や騒音がなくなるなどのメリットがある。
今年1月には夏の電力需要ピーク時対策として、ガスから電気をつくる「ガスエンジンコージェネレーションシステム」を導入した。併せて災害で電気・ガスが止まった時に必要な電力を確保するため、貯蔵する灯油で動く発電機も入れた。
みなとみらい21熱供給は単に熱を供給するだけではない。「エネルギーや環境に興味を持ってくれれば」。市教育委員会に所属したこともある内田茂社長は3月、地元の市立みなとみらい本町小学校と連携協定を結んだ。児童が同社施設を見学し、同社は授業プログラムのアドバイスをする。内田社長は「地域への冷暖房の安全・安定供給はもちろん、教育を通じて持続可能な社会の実現にも貢献していきたい」と話す。(宮川克也)