テンセント、6700億円社債発行 M&A投資か
【広州=比奈田悠佑】中国のネットサービス大手、騰訊控股(テンセント)は11日付で合計約60億ドル(約6700億円)の社債を発行すると発表した。同社は対話アプリやゲームなど中国国内の需要を取り込んできたが、成長は鈍化しつつある。大規模な資金調達によって、海外でのM&A(合併・買収)など成長投資を進めるとみられる。
米ブルームバーグによると日本を除くアジアで今年に入って最大のドル建て債の発行になる。今回の調達資金のうち半分は近く満期を迎える債券の償還などにあてるとされる。
残る調達資金の具体的な使い道についてテンセントは明らかにしていない。ただエンターテインメント分野の強化といった攻めの戦略への布石であるとの見方が大勢を占める。
例えば今年に入ってロイター通信などはテンセントが韓国の大手ゲーム会社の買収に関心を持っていると報じた。米系ファンド幹部は「テンセントグループには常にM&A案件の噂がある」と話す。
テンセントはここ数年間でネット出前サービスの美団点評や新興電気自動車(EV)メーカーの上海蔚来汽車(NIO)など、出資戦略を加速している。対話アプリなどのユーザー数の伸びが鈍化しているためだ。馬化騰・最高経営責任者(CEO)も「ネットの利用者数が伸びることによる『ボーナス』はもはやあまり多くない。様々な産業の中に深く入り込んでいくよりほかはない」と説明する。
3月発表した2018年10~12月期決算では、2四半期ぶりに最終減益になった。18年に中国当局の規制が強化され、稼ぎ頭のゲーム事業が伸び悩んだことが響いた。地域と業容、両方の観点での多角化が急務となっている。