16年に首相名で道路要望 忖度問題で野党なお追及
野党は9日の衆参両院の国土交通委員会で、安倍晋三首相と麻生太郎副総理・財務相の地元を結ぶ「下関北九州道路」の整備をめぐり追及した。立憲民主党の初鹿明博氏は、国交省が2016年3月末に「安倍晋三」の名前を含む与党有志の要望書を受け、その後に事業調査に前向きになったと指摘した。「この時点で首相案件になった」と主張した。
石井啓一国土交通相は「16年春に要望書を受けたが、首相の指示があったとは覚えていない」と述べた。「16年4月に熊本地震があり、救援物資を運ぶ道路としての関門トンネルの重要性について認識を深めた」と語った。塚田一郎前国交副大臣が道路整備で「忖度(そんたく)した」と発言したことに関しては「遺憾」として謝罪した。
自民党の吉田博美参院幹事長は9日、自らが昨年12月に塚田氏と会談した記録が公開されたのを受け、整備要望の正当性を訴える談話を発表した。会談時の「総理、副総理と言うと国交省もやりにくいだろう」という発言は「誤解を生まないように、という考えを表したもの」と説明した。
立民の辻元清美国会対策委員長は9日の党会合で「吉田氏は委員会にお出ましいただく段階だ」と国会招致を求めた。自民党の関口昌一参院国対委員長は拒否する考えを示した。