北海道知事に鈴木・前夕張市長、盤石リード守る
7日投開票された任期満了に伴う北海道知事選は、無所属新人で前夕張市長の鈴木直道氏(38)=自民、公明推薦=が初当選した。全国11道府県の知事選で唯一の与野党対決。元衆院議員で野党統一候補の石川知裕氏(45)に圧勝し、保守道政をつないだ。高橋はるみ知事(65)の国政転出を機に始まった16年ぶりの新人対決の末、全国最年少の知事が誕生する。
7日午後8時すぎ、早々と鈴木氏当確の一報が流れると、札幌市中心部の大通公園に面する事務所に集まった100人以上の支持者らから拍手と歓声が巻き起こった。その直後、濃紺のスーツ姿で登場した鈴木氏は満面の笑みを浮かべ、支持者らと握手を交わした。
後援会の似鳥昭雄会長(ニトリホールディングス会長)の音頭で万歳三唱を行った鈴木氏は一転、表情を引き締め「活力ある北海道の未来を切り開くため、約束した政策を一つ一つ形にし、皆様の期待に全力で応えたい」と話した。事務所には高橋知事も駆け付け、鈴木氏の選挙戦をねぎらった。
出馬を正式表明した2月1日の記者会見から2カ月あまりの短期決戦だった。鈴木氏は道内179市町村の9割超をくまなく回り、8年間の夕張市長としての実績や国との緊密な連携を強調してきた。告示日以降の17日間の遊説車の走行距離は約5700キロ、訴えた有権者数も約5万人に及んだ。
序盤の優位が伝わる中でも自民党は幹部を応援に投入し、万全の体制を敷いた。選挙戦最終日の6日は新元号の発表会見で知名度を上げた菅義偉官房長官も街頭で応援演説に立ち、最後まで支持固めに余念がなかった。道内の主要な経済団体も相次いで鈴木氏に支持を表明。序盤から組織力を武器に盤石な選挙戦を進め、女性や無党派層など幅広い世代からの支持も集めてリードを守った。
16年間続いた高橋知事による保守道政の継続を決めたとはいえ、人口減少や財政難をはじめ道政の課題は山積している。23日に就任する鈴木氏には直後から、知事としての判断を迫られる機会が訪れそうだ。
経営再建中のJR北海道の路線見直しでは、まず沿線自治体とともに19年度から行う予定の財政支援に道筋をつけることが急務となる。カジノを含む統合型リゾート施設(IR)誘致の是非は「プラス面やマイナス面を勘案し、早期に判断する」としていて、その決断に注目が集まる。
鈴木氏は選挙戦の演説で「新しい北海道の扉を押し開ける」という言葉を繰り返した。まもなく始まる「令和」の時代でその扉をどう押し開けるのか。鈴木氏に託された新しい北海道のかじ取りは容易なものではない。
(塩崎健太郎)
4年に一度の統一地方選。2019年は統一地方選と夏の参院選が12年に一度重なる「亥(い)年選挙」だった。
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