与野党対決の北海道知事選、戦略の違い鮮明
統一地方選 2019
全国唯一の与野党対決の北海道知事選は投開票日を7日に控え、両候補の戦略の違いが鮮明になっている。野党が推薦する石川知裕氏(45)は4日から6日まで札幌市で遊説し、無党派層の掘り起こしに集中。与党推薦の鈴木直道氏(38)は5日も道北地域を回り、地方重視の姿勢をアピールした。16年ぶりの新人同士の争いだけに、投票率にも注目が集まる。
「ピンチをチャンスにとは、名寄のように厳しい冬を乗り越えて絆が生まれるようなことだ」。鈴木氏は5日、名寄市で有権者らにこう語りかけた。自民党の候補者選考では、道内の市町村長などは他の候補を推した経緯がある。鈴木氏はこの日の演説で「地域の発展なくして北海道や国の発展はない」と強調し、地方重視の姿勢を浸透させて広く住民らの理解を得たい考えだ。
鈴木氏も最終日となる6日は札幌市に入って「最後のお願い」の予定。新元号の発表で知名度を上げた菅義偉官房長官が応援に駆け付ける。
対照的に石川氏は終盤の3日間、札幌市内でローラー作戦を展開中。無党派層や女性の支持が広がっていないのを踏まえ、大票田の掘り起こしに的を絞る。石川氏は5日、道庁前で「道庁から長時間労働をなくして民間にも波及し、安心して子育てができる北海道を作る」などと訴えた。道庁舎に向かって「道庁職員と一緒に奮い立って北海道を元気にしたい」と訴える場面もあった。
石川氏は6日も札幌市内を周り、繁華街のすすきので元知事、衆院議員の横路孝弘氏らも街頭に立って最後のお願いに臨む構えだ。
道知事選の投票率は低迷している。2015年の前回は11年時と比べて0.16ポイント増の59.62%。戦後では過去3番目に低い水準だった。北海道選挙管理委員会が公表した期日前投票の状況によると、2日時点の投票者数は30万8132人と前回の同時期の1.2倍に急増している。新人対決への関心は高い。
選挙権年齢が18歳以上に引き下げられて最初の統一地方選。両陣営はソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)もフル活用する。目立つのがツイッターだ。
「おはようございます。今日は札幌市からのスタートです」。石川陣営はツイッターで「あさいち動画」と名付けた短い動画を毎朝投稿する。絵文字を交え「信号待ちは選挙カーから降りて手を振る。そしてダッシュで戻る」といった投稿で親しみやすさもアピール。妻で衆院議員の石川香織氏も石川氏の投稿をリツイートして支援する。
鈴木氏もツイッターで毎朝、動画を投稿する。「ピンチをチャンスに。今日も全力で頑張ります」などと語りかけるのが日課となっている。各地の演説の様子を編集し写真や動画でまとめ、政治に関心の薄い世代に訴えかける。政策を盛り込んだ公約をまとめたイラストも掲載し、街頭以外でも有権者の支持を広めようと懸命だ。(塩崎健太郎)
4年に一度の統一地方選。2019年は統一地方選と夏の参院選が12年に一度重なる「亥(い)年選挙」だった。