大学入試の公正確保へ共通ルール 文科省有識者会議
医学部の入試不正など一連の問題を受け、文部科学省は5日、大学入試の公正確保に向けて有識者会議が取りまとめた全学部共通のルールを公表した。合否判定の際、合理的な理由なく、性別や年齢といった属性で一律に差別することを禁止。同窓生の子女枠など特別枠を設ける場合も、理由や募集人員などを社会に説明する必要があるとした。
有識者会議は共通ルールについて大学や高校など関係団体に意見を聴き、5月をめどに最終報告をする。文科省はこれを踏まえ、毎年度作っている入試の実施要項に共通ルールを盛り込み、6月ごろに全大学に通知する。
取りまとめでは、入試の責任主体は各大学で、自主性や自律性をもって行われることを前提とした。一方で入試は受験生の人生を左右するともいわれ、広く受け入れられる方法で実施することを重視した。
合否判定では、社会に理解される合理的な理由なく、性別や年齢、現役と浪人の別、出身地域、居住地域といった属性で一律に差別することを禁止する。合否判定の参考にする受験生の資料にも、こうした属性を掲載すべきでないとした。
成績の順番を飛ばして合格させる「順番飛ばし」も禁止。これまでも受験生への成績開示を求めてきたが、補欠合格の候補者の中での順番を開示することも透明性確保のために有効だとした。
帰国子女枠や同窓生子女枠、地域枠といった特別枠を設ける場合は、募集要項で合理的な理由を説明するよう要請。募集人員や出願要件も明記すべきだとした。同窓生子女枠には批判的な意見もあることから、より丁寧な説明を求めた。
一方、性別で一律に差を付けることは合理的な説明ができないと指摘。建学の精神や設立の経緯から、女子大のように女性だけを募集していたり、男女別に募集していたりする事例に限定した。
同省はこれまでも実施要項で、各大学が入試を「公正かつ妥当な方法」で行うべきだとしてきた。年齢や性別などで多様な学生を受け入れるよう配慮を求め、募集要項に入学者受け入れ方針(アドミッションポリシー)や入試区分ごとの募集人員、試験方法などを明記すると規定。入学前の寄付金募集も禁止している。
共通ルールを実施要項に盛り込むことで、より具体的な取り組みを各大学に求めることになる。
有識者会議では入試方法の共通ルールについてさらに明確に決めるべきだとの意見もあったが「入試方法を明らかにし、理由を含め説明する、ということに尽きるのではないかということで最終的に集約された」(同省)という。