ステンドグラスのある本社 大泉工場が文化財リノベ
業務用調理器具を輸入販売する大泉工場(埼玉県川口市)は国の有形文化財に登録された建物に本社事務所を移した。建物は昭和初期に建築された「大泉家住宅」で、鋳物工場の跡地である同社敷地内にある。装飾技術やデザインにこだわった洋館を本社として活用し、ひらめきを生みやすい環境づくりを目指す。
大泉家住宅は洋館と和館から成る。本社として使う洋館は外装に栃木県産「大谷石」を使い、内装はステンドグラスなどで華やかに装飾。和室の壁一面にガラスを張るなどし、社員らがアイデアを自由に描けるようにした。古いものを残しつつ「気持ちよく働ける空間にした」(同社)。
川口市は鋳物の街として知られ、大泉工場は1917年に鋳物工場として創業。洋館は初代社長で川口市長や国会議員を務めた故・大泉寛三氏が住み、接客などに使っていた。
同社は時代の変化に合わせ不動産賃貸や飲料製造販売など事業分野を拡大。2008年に鋳物工場を閉鎖した。4代目の大泉寛太郎社長は「業態は違うが、新しい価値を生み出すという点では変わらない」と話す。