エース社員の能力、数値化してみた テストで検証
ビジネスパーソンに必要な能力って、なんでしょう? 自分が従事する職種で活躍するにはどんな適性や素養が必要なのか、知りたくなったことはありませんか?
日本経済新聞社は商品企画、マーケティングにかかわる30歳前後の若手会社員に集まってもらい、彼らの本音を紙上座談会形式でまとめました。彼らは企業を代表して集まってくれた、いわば「エース社員」。そんなエース社員が具体的にどういう能力を持つのか明らかにできれば、他のビジネスパーソンにも参考になるのではないか。そんな思いから、彼らに機械学習を使った能力テストに協力してもらい、一線で働く若手マーケターの特徴を抽出しました。
「柔軟性」や「興味」で高スコア
集まってもらった5人に、企業人事・採用支援のスタートアップ、IGS(東京都渋谷区)の協力のもと、同社が提供する人工知能(AI)を使った適性検査「GROW360」を受検してもらいました。
今回受検した5人の結果を平均し、主な項目についてレーダーチャートで表示しました。IGSが持つ同世代の一般的な会社員のデータと重ね、比較できるようにしました。
比較の結果、5人は特に「個人的実行力」「決断力」「物事への興味関心度」「耐性」といった自己に関する領域で飛び抜けた特性をもっていました。IGSの福原正大社長は「これらは企業の中で新しい取り組みをはじめるのに向いている特性だ」と指摘します。
その一方、「柔軟性」や「情熱や想いを他人に宣教する力」といった、周囲とうまく仕事を進めるための特性も強く兼ね備えていることも見逃せません。
実際、この若手マーケターどうしで集まって議論してもらった時も、柔軟性の高さをうかがい知ることができました。自分がやりたいことと組織の方針が違っているときの対処法についての話題で、ある1人の方が「まったく気にしない。まずは組織から与えられたタスクをすばやく片付けてから、空いた時間で自分の好きなことにも取り組めばいいから」と話していました。周囲に振り回されずに自分のパフォーマンスを最大化することのコツをわきまえている様子が見て取れました。
ビジネス能力は今からでも高められる
今回の検査では、若手マーケター5人と一般の会社員で「課題を設定する力」については大きな違いがありませんでした。マーケターは世の中の潜在的ニーズを見つけるのが主な仕事と思われがちですが、実はそれよりも、決断したり、実行したり、思いを伝えたりする能力を高めたほうが、業務の成功には近づきやすいのかもしれません。受検者の一人は「アイデアを思いつくだけの人はたくさんいる。それを支えるロジックや、ストーリーを周囲に伝えていくことの方が大切」と話していました。
IGSの福原社長によると実行力や決断力といった行動特性は、業務を通じて高めていくことができるそうです。「まずは自分がビジネスパーソンとして周囲からどのように思われているのか、助言を求めてみるといいだろう」といいます。自分がどんなすてきな能力を持っているかはなかなか気づきにくいもの。逆に、自分がどんな弱点を持っているのかも、自分ひとりでは見つけにくいものです。
いまの自分の立ち位置を知り、あわせて目標になるビジネスパーソンを、あなたの身近なところから見つけてみませんか。そうすれば、いつの日か、会社でワクワクできるようになるかもしれません。