韓国補選、革新系与党が苦戦 保守系と議席分け合う
【ソウル=恩地洋介】韓国で3日、前職の死去などに伴う国会議員の補欠選挙が南部・慶尚南道の2選挙区であり、即日開票された。与党を含む革新系と、挽回を期す保守系野党が競り合い、双方が1議席ずつを分け合った。2020年4月の総選挙の前哨戦とも位置付けられ、釜山近郊の選挙区では革新系が接戦を辛うじて制した。
接戦となった慶尚南道・昌原(チャンウォン)の選挙区は、革新系与党「共に民主党」と革新系野党「正義党」が候補者を一本化。保守系野党の自由韓国党と激戦を展開した。結果は革新系の統一候補が、500票余りの差で自由韓国党候補を制した。
本来は保守系が強い地域だが、工業団地が集積しており釜山が地元の文在寅(ムン・ジェイン)大統領を支持する労働組合票も多い。このため同選挙区の動向は、文政権の中間評価の意味合いを帯びるとみられてきた。
革新系の辛勝は、文政権の勢いの陰りを意味する。2月末に開いた米朝再会談の合意見送りや経済の停滞で、文政権の主要政策の行き詰まり感が際立ち、3月下旬には大統領府報道官が不動産投機に関わったとする疑惑を受けて辞任した。
もう一方の慶尚南道・統営(トンヨン)の選挙区は自由韓国党が議席を守った。同党は2月下旬、朴槿恵(パク・クネ)前大統領の弾劾後に大統領代行を務めた黄教安(ファン・ギョアン)氏を代表に選んだ。党勢は低迷しているが、接戦区で革新系を追い詰めたことで、来年の総選挙に向けて勢いを取り戻せるかが注目される。