仏フォルシア、車技術の新組織 クラリオン軸に発足
仏自動車部品大手のフォルシアは2日、グループのフランス・中国企業と3月末に買収したクラリオンを組み合わせ、次世代車技術の開発組織を立ち上げたと発表した。自動車産業ではCASE(つながる車、自動運転、シェアリング、電動化)と呼ばれる分野の開発競争が激しい。部品メーカーはM&A(合併・買収)や組織の再編で対応を急いでいる。
「センサー技術などは運転支援に欠かせない。クラリオンが持つ技術は多大な貢献をもたらす」。フォルシアのパトリック・コラー最高経営責任者(CEO)は同日、都内で記者会見を開き意気込みを示した。同社はクラリオンが持つ音響システムや自動駐車などの技術を軸に、グループ事業を広げる戦略だ。
クラリオンは日立製作所の連結子会社としてカーナビゲーションシステムなどを手掛けてきたが、3月末にフォルシアの完全子会社になった。音響や電子・画像技術に強い一方、カーナビの需要が伸び悩んでいた。
3社を組み合わせた新組織「フォルシア クラリオン エレクトロニクス」は1日付で発足した。さいたま市を拠点に9000人規模の新組織だ。ADAS(先進運転支援システム)や車載機器、車内の音響や照明などを手掛ける。関連事業の売上高は現在14億ユーロ(約1750億円)で、22年までに4割増の20億ユーロ以上を目指す。新組織のトップには川端敦クラリオン社長が就いた。
この数年、世界の自動車部品大手は企業買収によって最先端の情報技術や新事業を傘下に収めている。
カナダのマグナ・インターナショナルは16年に車載通信システムのドイツ企業などを買収。独ボッシュも18年、相乗りサービスを手がける米スタートアップ企業のスプリッティング・フェアズ(SPLT)を取得。ライドシェア事業へ参入することを表明した。独コンチネンタルは車のインターネット接続技術を強化する狙いで、19年に独自動車アンテナメーカーを買収している。
パイオニアがファンド傘下で再建するなど従来のカーナビ技術を巡る競争は激しい一方、CASE関連の新技術やサービスは部品メーカーにとっても新たな収益源を生む好機。独自技術を持つスタートアップ企業を交えた主導権争いになっている。
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