熊本地震以来の悪化 九州・沖縄 3月短観
日銀福岡支店は1日、3月の九州・沖縄企業短期経済観測調査(短観)を発表した。企業の景況感を示す業況判断指数(DI)は全産業でプラス13と前回調査から5ポイント悪化。熊本地震後の2016年6月以来、11期ぶりの下げ幅となった。原材料費や人件費の増加に加え、米中貿易摩擦による受注減が広がり、企業収益を圧迫した。
製造業の業況判断DIは8ポイント悪化のプラス5。24ポイント悪化したリーマン危機後(09年3月)以来の低下幅だった。中国の景気後退や半導体需要の減退で、九州主力の機械3業種だけでなく化学や鉄鋼、非鉄金属といった業種でも悪化が目立った。
北九州支店管内では13ポイント悪化のマイナス5と、3年ぶりのマイナス圏になった。梅田秀彦支店長は「高水準だった受注残が減っているものの、中国とITが原因とみえている。次世代通信規格の5G需要などでいつ回復基調に戻れるかを注視したい」と述べた。
熊本支店管内は全産業でプラス2と7ポイント悪化。倉本勝也支店長は「足元は改善の動きに一服感がみられるが、トレンドはプラスの方向」とした。
九州・沖縄の非製造業は3ポイント低いプラス17と3期ぶりの悪化。人手不足によるコスト増が響いたほか、卸売・小売で暖冬の影響もあった。価格高騰で需要減退感が出ている不動産は、11ポイントの大幅悪化となった。
雇用人員判断DIは非製造業でマイナス46と「不足」超幅が過去最大を更新した。製造業ではやや改善したものの企業の人手不足感は依然強い。
先行きの景況感は製造業で3ポイントの改善を見込む。5ポイントの悪化をみる全国と対照的な動きについて宮下俊郎・福岡支店長は「中国当局による景気刺激策の効果が早く表れるとの見方がある」と指摘。「やや強気の想定」通りとならなければ、19年度の増収増益の企業業績見通しや高水準の設備投資計画が腰折れする可能性もあるとした。
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