19年度スタートに決意新た、北海道内で入社・入庁式
2019年度を迎えた1日、道内の企業や自治体がそろって入社式、入庁式を開いた。急速に進む人口減など北海道経済を取り巻く課題は多いが、同日午前に発表された新元号「令和」を新時代の到来と捉え、次世代を支える責任感と気概を持つよう呼びかけるトップが目立った。
JR北海道の島田修社長はJR病院の31人を含む340人の新入社員を前に、8年前の石勝線脱線事故を引き合いとして「安全は天から降ってくるものではなく、一人ひとりの努力の積み重ねで保たれる」と訓示した。「地域から信頼される企業グループの実現に向け、今年からスタートする経営計画に参画してもらいたい」と話した。
新入社員代表の菊地祥生さんは「元号が変わる時に入社するのはなかなかない。僕たちの世代が新時代のJR北海道をつくるという心意気を持ちたい」と力を込めた。
北海道電力の真弓明彦社長は新入社員102人に「北電グループは昨年9月の大規模停電を決して忘れてはならない」と呼びかけ、「再発防止策など改善策を着実に進めるために、皆さんは現場の第一線でこの一翼を担うことになる」と自覚を求めた。
昨年12月に本州・九州のスーパー2社と広域連合を結成したアークスには148人が入社。横山清社長は「1兆2000億円のコラボレーションとなった。皆で力を合わせて手を取り合う」と連携への期待感を示した。飲食料品の値上げや秋の消費増税にも触れ「店頭で客の反応を肌で感じ取れる訓練を」と促した。
鶴雅ホールディングス(北海道釧路市)はホテルなどグループ7社の合同入社式を開き、新入社員29人を迎えた。大西雅之社長は「観光は間違いなく明日の日本を支える産業になる」と訓示。進行する人口減少に触れた上で「日本の周りには人口が増え元気な国もたくさんある。交流人口が地域を豊かにする時代に必ずできる」と観光産業の将来に期待を示した。
会員企業の合同入社式を開いたのは北海道中小企業家同友会。冒頭で藤井幸一代表理事(サンマルコ食品社長)は「地域経済は中小企業が支えてきた。これまでの人生よりも長く働くことになるが、頑張ってほしい」と激励した。新入社員代表を務めた恒栄工業の遠山大騎さんは「会社と社会に早く貢献したい」と意気込んだ。
超低金利下で収益力が低下し、新たな方向性を模索する金融業界。87人の新入行員を迎えた北洋銀行の安田光春頭取は「従来型の銀行業務にとどまらない新たなサービスが求められていることを認識しなければならない」と強調。北海道銀行の笹原晶博頭取も85人の新入行員に「人の質の総和が銀行の競争力になる。金融環境の変化に対応するために若いアイデアが必要だ」と説いた。
一方、自治体の入庁式では若さに期待する声が相次いだ。47人の新入職員に採用辞令を手渡した函館市の工藤寿樹市長は「新元号の発表日と重なり、皆さんには一生忘れられない日になると思う」と述べ、「若い力で市役所に新しい風を吹かせてほしい」と激励した。
旭川市の西川将人市長は36人に辞令を交付し「18歳から中途採用の44歳まで、経験や持ち前の若さ、エネルギッシュさを生かしてほしい。道北の拠点として周辺の町と連携し、北海道全体のことを考えながら仕事をしてほしい」と述べた。