札幌中心部の再開発始動、駅前に複合施設 ヒルトンも
札幌市中心部で大規模再開発が始動する。JR札幌駅南口でホテルやオフィス、家電量販店が入居する複合施設が2028年にも開業。中島公園の近くの札幌パークホテルは敷地内に新館を建て、米ホテルブランド「ヒルトン」として23年に営業を始める。30年度の北海道新幹線の札幌延伸を見据え、街のにぎわい創出の動きが加速する。
札幌駅南口の札幌西武跡地を含む北4西3街区を巡り、家電量販店のヨドバシカメラなどの地権者は5月に再開発準備組合を設立する。新たな複合施設は低層棟と30階超の高層棟で構成し、ホテルやオフィス、ヨドバシカメラなどの店舗が入る。今後は関係者の意見調整や環境調査などを進めた上で着工し、28年にも開業する予定だ。
同街区では札幌西武が09年に閉店し、ヨドバシカメラが11年に土地と建物を取得。17年には札幌市が同街区全体の再開発を促すため、ヨドバシカメラや北海道建設会館などの地権者とともに検討会を設立し、各地権者の意向を調整していた。準備組合の設立で再開発が本格的に動き出す。
中島公園地区の街並みも大きく変貌する。札幌パークホテルを所有するサンケイビル(東京・千代田)は敷地内に新館を建設。ヒルトンとフランチャイズ契約を結び、23年に「ヒルトン札幌パークホテル」(350室)としてオープンする計画だ。複数のスイートルームも設け、富裕層の取り込みに力を入れる。
新館の建設後、現在の札幌パークホテルは解体する。跡地には国際会議や展示会など「MICE」を誘致できる札幌市の施設を建設し、25年度をめどに開業する。広さ4000平方メートルの展示場や2000席の可動式座席を備えたホール、大小15室の会議室を用意。中島公園地区の他の施設と合わせ、1万人規模を収容できるようにする。
札幌市中心部では他にも大規模再開発が相次いでいる。創成川イースト地区の大通東2街区ではニトリホールディングスの主導で美術館やホテル、バスターミナルなどが入る複合施設を建設。札幌駅南口の北5西1から北5西2にかけての街区では札幌市が民間に土地活用策を公募した。大手ゼネコンやデベロッパーの案を参考にしながら、今秋にも再開発の構想を取りまとめる。