北海道電、「新北本連系線」の運用開始
北海道電力は28日、北海道と本州を結ぶ緊急送電線の増強分「新北本連系線」の運用を始めた。本州とやり取りできる電力容量は従来の60万キロワットから1.5倍の90万キロワットに増える。増強した30万キロワット分の設備は北海道電が保有する。外部電源に頼らずに運転できる「自励式」システムを、地域間連系線としては全国で初めて導入。連系線の増強で、大規模停電の防止につなげる。
北本連系線は津軽海峡を渡る長大な送電線となるため、長距離送電でコストを抑えやすい直流送電を採用した。新たな運転方式を導入したのは、従来型の弱点を克服するためだ。
直流の電気を家庭などで使えるようにするには交流に変換する必要がある。既設の北本連系線は直流から交流への変換に大電力が必要な「他励式」で、稼働には北海道や本州の送電網から電力を受ける必要があった。このため、2018年9月の全道停電の直後は北海道への送電ができない事態に陥った。
全道停電の反省を踏まえ、地域間の電力融通を監督する電力広域的運営推進機関(広域機関)を中心に北本連系を再増強する議論も進んでいる。広域機関は増強規模や送電ルートのほか、工事費や工期について今春までに一定の結論を出す方針だ。