プレミアかそれ以外か わずかな残り時間 全力で
日本代表の活動期間、メンバーに選ばれていない僕は心身ともにさまざまなリフレッシュができる。時にクラブは3連休になり、時間が合えば家族と小旅行へ出かけることもある。子供の学校やサッカーの練習があり、昔のようにお父さんの都合優先というわけにはいかないけれど。
2月に監督がブレンダン・ロジャーズ氏に代わった。ケガで20歳で現役を退くとそのままコーチ修業に入り、イングランドのいろいろなクラブで指揮を執ってきただけあって、46歳にしてベテラン監督の雰囲気を漂わせる人だ。
監督交代後の第2戦、フルハムとの試合で僕は4-2-3-1のトップ下で途中出場した。この形は練習中もやっており、僕もチームメートもどう戦うかは明確になっていた。約18分間の出場で惜しいシュートを放っただけではなく、停滞していた試合にスイッチを入れ、2点追加の勝利に貢献することができた。
新監督からは分け隔てなく選手全員をリスペクトする態度が伝わってくる。コーチのコロ・トゥーレも丁寧に選手の気持ちに寄り添い、まめに声をかけてくれる。監督交代で停滞していたチーム内の空気は一変した。
前回、さまざまなポジションで途中出場が多い現状も自分にとってプラスになると書いたけれど、仕事が明確になった今のほうが当然プレーはしやすい。監督は僕の強みを理解し、チームの武器として考えてくれている。
プレミアリーグに移籍してきた時、ここで生き残って試合に出るには守備をやり、バランスを取り、ピッチを走り回ることが周りの選手との差別化につながると考えた。
そんなスタイルはFWとしては異質かもしれないが、チームに有益であることはプレミアリーグ優勝で示せたはずだった。しかし絶大な信頼を勝ち取るには至らなかった。それはその後もクラブが何人もの「ザ・ストライカー」というタイプのFWを獲得したことでも明らかだろう。
それでも僕は、ゴールを優先させて、献身性や守備、走力を減らそうとは一切考えなかった。そういう仕事をしながら得点も取る。それができれば、規律を守るから使い勝手がいい、使い走りに向いた日本人選手という「像」を変えられるとも考えたから。
それが僕のプレミアリーグでの目標になったが、いまだに達成はできていない。昨季はシーズン前半で6ゴールを挙げたが、その後は負傷もあってプレーできなかった。
プレミアでその挑戦を続けたい思いはある。が、イタリアやスペインのような未知の国、リーグ、違った環境で新しい岡崎慎司を発見したいという欲もある。シーズンは終盤に入り、残された時間はわずか。身の振り方の選択肢を少しでも増やすために、力を尽くすのみだ。
(レスター所属)