「年男」ジャンボ尾崎、プロ50年目にかける
男子ゴルフの尾崎将司(72)が1970年にプロデビューして50年目のシーズンを迎える。亥(い)年の今年は「年男」。プロ通算113勝(うちツアー94勝)のレジェンドは、節目のシーズンへ「自分ではラストイヤーと考えている」と背水の陣で臨む覚悟だ。
ここ数年は持病の腰痛に苦しみ、昨季は自身最少の7試合の出場にとどまった。そのうち4試合は棄権。予選突破となると、初日に9アンダー、62をマークしツアー初のエージシュート(年齢以下のスコアで回ること)を達成した13年つるやオープンが最後だ。
2年前に2度目のエージシュートを記録したが「ここ2、3年はたいしたことをやれてない。ある程度の結果が出ないと」と満足のいくプレーができない自分に、じくじたる思いを抱えている。
寒中のショット練習で故障が再発するのを避けるため、このオフに取り組んでいるのが素振り。重たいものから軽いものまで、約20種類の自作の練習用クラブで毎日200回、素振りを繰り返しているという。「振る筋力をつけないと。今までこんなに素振りをしたことはない」。2月23日に千葉市内で行ったジュニアレッスン会では「もっと振れ、体を使って強く振れ。ヘッドスピードを上げろ」と叱咤(しった)激励していた。
自らも「ヘッドスピードを最低3(メートル毎秒)上げるのがテーマ。そうすれば20ヤードは前に行く」と話す。黄金時代は断トツの飛距離のドライバーショットで他を圧倒しただけに「飛ばなきゃ、ゴルフなんて面白くない」。
64年の選抜高校野球で徳島・海南高のエースとして優勝。同年の東京五輪では聖火ランナーを務めた。再び東京五輪が開催される20年まではツアーで戦いたいという思いがある。72歳という年齢は「意識しない。まだイーブンパーだ」。エネルギーにあふれ、気持ちは枯れていない。「自分の体にむち打って、いい稽古をして、もしかしたらいい結果も……」と前だけを見続ける。(吉良幸雄)