田中や菊池、期待高まるメジャー日本投手陣の活躍
スポーツライター 杉浦大介
2019年シーズン到来――。一足先に東京でマリナーズとアスレチックスが開幕2連戦を戦ったのに続き、米大リーグは28日(日本時間29日)に米国内で一斉に開幕する。
日本選手ではイチローが引退を発表し、大谷翔平が開幕に間に合わないのは残念だが、それでも見どころは尽きない。特に注目は田中将大(ヤンキース)、ダルビッシュ有(カブス)、菊池雄星(マリナーズ)、前田健太(ドジャース)の4投手の動向。それぞれまずは順調に過ごしており、今季の活躍に期待がかかる。
2年ぶり4度目の開幕戦を任された田中は、オープン戦5試合に登板して防御率2.65。17イニングを投げて23奪三振と安定感が際立つ。得意のスプリッター、スライダーをサポートする武器としてカーブ、カットファーストボールに磨きをかけてきた。投球の幅も広がり、視界は良好なようだ。本人もキャンプは「充実している」と語り、手応えを感じていた。強力な打線、救援陣を擁するチームは今季も優勝候補に挙げられており、脂が乗った30歳の田中が充実の1年を過ごす可能性は高そうだ。
21日に日本でデビューを果たした菊池の評判もここまでは上々だ。アスレチックス戦では4回2/3で降板したため初勝利はならなかったが、内容は合格点だった。
「ユーセイ・キクチのカーブは打者の肩から足首あたりまで落ちてくる。先発ローテのトップ(1~2番手)が務まる投手だ」
米スポーツ誌「スポーツ・イラストレイテッド」の開幕特集号にも、大リーグのスカウトのそうした言葉が掲載された。投手有利とされる本拠地Tモバイル・パーク、左腕の利点、選手層が厚いとはいえない所属地区(ア・リーグ西地区)など、菊池に有利な材料は少なくなく、実際に1年目からいきなり好成績を残す可能性がある。シアトルで迎える29日のレッドソックス戦での先発が決まり、今後がさらに楽しみになってきた。
注目度は高いとはいえないが、メジャー4年目を迎える前田も強豪チームに様々な形で貢献できることをすでに証明してきた。クレイトン・カーショー、リッチ・ヒルら実績ある投手が故障のため開幕に間に合わない状況にあって、今春のオープン戦で2勝0敗、防御率2.70と順調。その適応能力の高さ、耐久力にはやはり魅力がある。開幕3戦目の先発もすでに発表され、3年連続でワールドシリーズ進出を目指すチーム内で今季も重要な役割を担うことになる。
4投手の中では、32歳のダルビッシュは最も厳しい位置にいるといえよう。カブス移籍1年目の昨季はけがと不振で1勝3敗、防御率4.95と本来の実力を発揮できなかった。ドジャースの一員として迎えた17年のプレーオフで苦しんだこともあり、スポーツ・イラストレイテッド誌の開幕特集号にも「彼は大都市で(の活躍)は難しいのかもしれない」と辛辣な指摘がなされていた。もっとも、ダルビッシュがメジャーでも屈指の才能を備えていることに変わりはない。鍵を握るのが心身のコンディション。そこさえクリアできれば、今季はカブス投手陣の中でもトップ級の成績を残しても不思議ではない。