FRB理事にトランプ陣営幹部 金融政策に関与強める
【ワシントン=河浪武史】トランプ米大統領は22日、米連邦準備理事会(FRB)理事に保守系の経済評論家、スティーブン・ムーア氏を指名すると記者団に明らかにした。ムーア氏は2016年の大統領選でトランプ陣営の経済顧問を務め、大型減税の立案などに携わった。トランプ氏が自らに極めて近い人材をFRB理事に指名するのは初めてで、金融政策へ関与を強める狙いがある。
ムーア氏の理事就任には上院の承認が必要になる。同氏は保守系シンクタンク、ヘリテージ財団に所属する経済評論家で、トランプ大統領の知恵袋のひとりだ。トランプ氏は22日、ツイッターで「ムーア氏は極めて尊敬できるエコノミストで、長年の知人だ。傑出した人選なのは疑いようがない!」と主張した。
FRBは正副議長を含めて理事ポストが7つあり、現在も2つが空席だ。トランプ氏はパウエル議長やクラリダ副議長を自ら指名したものの、個人的な関係が深いわけではない。18年9月にはFRB元高官のネリー・リャン氏を指名(19年1月に辞退)するなど、これまでは「トランプ氏の理事の人選にはFRBの意向が強く働いてきた」(FRB幹部)。
ただ、トランプ氏は株価が下落する中で利上げを続けたFRBを「常軌を逸している」など厳しく批判し、最近はパウエル体制との摩擦が目立っていた。トランプ氏が陣営元顧問のムーア氏を起用するのは、低金利を求める自らの意向をFRBの金融政策に強く反映する狙いがある。