東大と日清 培養肉作製に成功 本物に近い食感
東京大学の竹内昌治教授らは日清食品ホールディングスなどと共同で、本物の肉に近い食感を持つ人工肉を作ることに成功した。筋肉の細胞同士をつなげ層状にして培養することで、本物の肉に近い構造になった。人工肉は畜産よりも環境負荷が小さく、肉の代用品として研究が進んでいる。
動物の肉を利用する現在の畜産は、飼育時に大量の温暖化ガスを排出するため環境への負荷が大きく、広い土地が必要になる。そこで人工的に肉を再現する人工肉を開発する研究が進む。従来の人工肉は筋肉の細胞を増やして作るため、それぞれの細胞同士のつながりが弱くミンチ肉しかできなかった。
研究グループはアミノ酸などを含んだ培養液にビタミンCを加え、一定の刺激を与えながらウシの筋肉細胞を培養した。すると細胞の成熟が進み、細胞同士が融合して繊維状になった。つながった筋細胞を立体的に積み重ねて培養して厚みも持たせた。筋肉細胞を1週間ほど培養し、サイコロステーキ程度まで大きくできた。
実用化には量産技術などが必要なため、10年以上かかる見通し。今後は、血管や脂肪などが含まれた、より実際の肉に近い培養肉の作製を目指す。