沖縄県、辺野古移設できょう提訴へ 政府「工事予定通りに」
沖縄県は22日、政府が進める米軍普天間基地(同県宜野湾市)の名護市辺野古移設に関し、県による埋め立て承認撤回を石井啓一国土交通相が執行停止した処分の取り消しを求め、福岡高裁那覇支部に提訴する。玉城デニー知事は19日に安倍晋三首相と会談し工事中止を求めたが政府がこれを拒否したため。政府と県の争いは再び法廷闘争に発展する。
謝花喜一郎副知事は22日午前、県庁で「21日に知事と最終確認したが、22日付で提訴する」と述べた。政府は埋め立て予定地で25日に新たな海域での土砂投入を始める予定だ。玉城氏は首相にこの中止も求めていたが、謝花氏によると、政府は「25日に予定通りやる」と回答したという。
埋め立て承認を巡っては2018年8月に県が撤回し、国土交通相は10月に承認撤回の効力を止める決定をした。県は総務省の第三者機関「国地方係争処理委員会」に審査を求めたが19年2月に却下された。これを不服とする場合の提訴期限が3月22日だった。
岩屋毅防衛相は22日の閣議後の記者会見で県の提訴方針に関し「残念だ」と述べた。「話し合いを続けながら移設事業は進める」とも語った。
玉城氏は首相との会談で土砂投入の中止と政府と県による1カ月の集中協議を求めていた。
翁長雄志前知事が15年に埋め立て承認を取り消した際も、今回と同様の流れで県による高裁提訴まで進んだ。このときは政府と県の和解が成立し県は提訴を取り下げた。その後、政府が是正指示に従わないのは違法だとして県を訴えた裁判で16年に県敗訴が確定した。
国交相の執行停止決定により政府は工事を再開した。18年12月に一部の海域で土砂投入を始め、3月25日にはこのエリアを広げる。工事が進んでいない海域では軟弱地盤の存在が明らかになった。政府は地盤改良に3年8カ月が必要だと試算。年内に設計変更を県に提出する予定だ。工事には県の許可が必要だが玉城氏はこれを認めない構えで対立は続く見通しだ。
8月25日告示、9月11日投開票の日程で実施される沖縄県知事選挙に関する最新ニュースと解説をまとめました。現職と新人2人の計3人が立候補を届け出ており、米軍普天間基地(宜野湾市)の名護市辺野古移設の是非や、新型コロナウイルス感染拡大で傷ついた県経済の回復が主要争点となりそうです。