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イチロー、色あせぬ偉業 野球愛した「安打製造機」

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イチロー(45)が現役引退を発表した。大リーグ歴代22位の3089安打、日米通算ではピート・ローズの大リーグ記録4256安打を上回る4367安打をマークした希代の安打製造機が、ついにバットを置く。

2018年5月、6年ぶりに復帰したマリナーズで調子が上がらず、ベンチ入りメンバーから外れて会長付特別補佐に就いた。18年シーズンの試合には出場しないものの、遠征にも同行して練習を続け、現役復帰を目指しながら選手をサポートするという立場。極めて異例といえる契約を結んで捲土(けんど)重来を期したが、40代半ばを迎えて9カ月あまり実戦から遠ざかるブランクは、数々の金字塔を打ち立ててきた大打者にも途方もなく高い壁だった。

これに対し、米現地メディアを中心に「事実上の引退」との厳しい見方があった。それでもイチロー本人は「44歳でアスリートとしてこの先どうなっていくのかを見てみたい。僕は野球の研究者でいたい。毎日鍛錬を重ねることでどうなれるのか見てみたい」と、決して前向きな姿勢を失ってはいなかった。

実際、オープン戦で連続無安打が続いた来日時の記者会見では、シーズン開幕前に26打席無安打と苦しみながらも、最終的に200安打に到達した08年シーズンに触れた。「場所が変わって大好きな日本でプレーすることで気持ちも変わる。自分の持てる技術を見せたい」と巻き返しに意欲を見せた。17、18日の巨人とのプレシーズンゲームでも走力と守備は衰えを感じさせなかった。

ただ、最大の見せ場である打撃では埋めようのないブランクと動体視力の低下を感じさせた。一瞬捉えたような打球にも勢いがなく、野手の正面を突く。追い込まれてからの変化球を腰を引くようにして見送り、バットがぴくりとも動かない。いずれも過去の一時的な不振とは性質の異なるものに思えた。

それでも、打ち立てた数々の偉業は色あせることはない。04年に大リーグのシーズン最多安打記録(262安打)を更新し、前人未到の10年連続200安打を達成した。将来の米国野球殿堂入りが確実な球団の大功労者にマリナーズが最大限の敬意を払ったことで、同僚たちも多くのことを吸収した。チームの主力打者、ハニガーは「我々にとって、まさにロールモデルだ」と語る。

ディポト・ゼネラルマネジャー(GM)から「ダライ・ラマのような存在だ」と評された勤勉さで、日本野球の持つ特質と奥深さを余すことなく伝えた。

(常広文太)

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