中国テンセント 馬CEO「ネット利用者数、頭打ちに」
【香港=川上尚志】中国のネットサービス大手、騰訊控股(テンセント)は21日、香港で2018年12月期の決算記者会見を開いた。馬化騰・最高経営責任者(CEO)は「ネットの利用者数は頭打ちになる」との考えを示し、クラウドサービスなど法人事業を強化する方針を述べた。馬氏と劉熾平総裁の主な一問一答は以下の通り。
――中間管理職の10%を対象に降格させると報じられています。
劉氏「当面は10%を目標としている。人員削減ではない。(中間管理職が)もっと若い人材に置き換わることを希望している」
――主力のゲーム事業の今後の見通しは。
劉氏「18年は当局によるゲームの審査が遅れ、多くの新しいゲームを発売できなかった。ただ19年から審査が再開し、当社も8つのゲームの認可を得た。今後も人気を集めるゲームを開発していく。海外でのゲーム事業は発展が続いており今後さらに伸びる」
――今後の成長の軸足をどこに置きますか。
馬氏「中国のネット業界は新たな段階に入っている。ネットの利用者数が伸びることによる『ボーナス』はもはやあまり多くない。様々な産業の中に深く入り込んでくよりほかはない。我々は(対話アプリで)すでに10億を超える利用者を抱えている。様々な産業のパートナーと組めば利用者の利益につながる」
「18年9月に組織を再編し、医療や教育、人工知能(AI)や自動運転などの事業を1つの事業部に統合した。クラウドを軸にして様々なサービスを統合して提供していく。短期的な売上高や利益にはこだわらない。市場を育てる必要があると考えている」
――次世代通信規格「5G」などの新しい技術により、今後のネット業界はどう変化しますか。
馬氏「5Gは今年、話題を集める言葉の1つだ。あらゆるモノがネットにつながる『IoT』は、5Gの技術が基礎になる。5Gはインフラや情報端末の技術の変化をもたらし、あらゆるネットサービスのあり方を再構築するだろう。ネットは金融や医療、教育など様々な分野と結びつき、各方面で成熟しつつある。ネット企業は今後、実体経済を支える存在になっていくだろう」