与野党が公約 子育て・教育に重心 統一地方選
21日からスタートした統一地方選向けに与野党が公約や政策集を発表した。有権者に身近な選挙である点を考慮し、子育て支援や教育の充実に重心が置かれた。参院選をにらみ、農業など地方の経済振興や格差是正を訴える政策も目立つ。
自民党は「経済再生」「地方創生」「人づくり・社会作り」などの5つの重点政策を掲げた。10月の消費税増税による景気の腰折れを防ぐ目的で自動車や住宅の購入支援策も打ち出す。アベノミクスで雇用や賃金が増加したと強調し「この流れを加速させ、地方まで波及させる」と訴える。
地方創生では農林漁業者の所得の増大や、外国人観光客を年間4千万人受け入れる目標を挙げた。災害への備えとして国土強靱(きょうじん)化の緊急対策を進める。
公明党は「少子高齢化・人口減少時代のピンチをチャンスに変える」とうたい、教育施策に力を入れる。公立小中学校の普通教室へのエアコン設置を推進。子どもの医療費助成の拡充にも力を入れる。風疹の流行を受け予防接種の機会がなかった世代の男性への無料ワクチン接種を実施する。
立憲民主党は「誰も置き去りにしない社会」を目標に高齢者や障害者支援に力を注ぐ。介護士や保育士の待遇改善にも取り組む。LGBT(性的少数者)のカップルを結婚に相当するパートナーとして認める「パートナーシップ証明」の発行を全国の自治体に広げる。原子力発電所の再稼働停止に向け再生可能エネルギーへの転換を挙げた。
国民民主党は「子ども」「農業」「中小企業」など5項目を打ち出した。子育て世帯向けに給食費や子どもの医療費の負担を軽減。児童虐待の防止に向けた体制強化をはかる。農家の戸別所得補償制度の復活と拡充も訴える。中小企業が従業員を新規採用する際の社会保険料負担を助成する。
共産党は消費税増税や原発再稼働、憲法改正など政府・与党が進める国政課題への反対を鮮明にする。国民健康保険料の引き下げなども訴える。
日本維新の会は議員報酬や定数の削減といった「身を切る改革」を挙げた。教育の無償化をさらに充実させるため、所得制限の緩和や子どもが多い世帯への優遇措置の導入を目指す。
各党は統一地方選と同時並行で参院選の公約作りを進めている。地方選での感触を参院選の風を読む材料とする考えだ。