北海道知事選が告示 「ポスト高橋」へ舌戦幕開け
任期満了に伴う北海道知事選が21日告示され、いずれも無所属新人で、元衆院議員の石川知裕氏(45)と前夕張市長の鈴木直道氏(38)が立候補した。現職の高橋はるみ知事の5選不出馬で、16年ぶりに新人同士の戦いとなった。地震からの復興や人口減少などの課題が山積するなか、次のリーダーをかけた17日間の舌戦が幕を開けた。
道知事選は4月7日投開票。自民、公明が推薦する鈴木氏と、立憲民主、国民民主、共産、自由、社民が推薦する石川氏による与野党一騎打ちとなる。鈴木氏と石川氏は21日、2018年9月の北海道地震で被害の大きかった被災地でともに第一声を上げた。
鈴木氏は安平町で、自身のイメージカラーとする青色のジャンパーを着て登場。「3町と連携を取り一日も早い復旧復興に取り組む」と力強く語った。鈴木陣営にはこの日、自民党の甘利明選挙対策委員長や早来町(現安平町)出身の橋本聖子参院議員会長ら自公両党の多くの幹部が応援に駆け付けた。
黒のスーツを着た石川氏は地震の土砂災害で犠牲者が多く出た厚真町吉野地区で献花をしてから、同町での第一声に臨んだ。「現状の復興のメニューでは被害件数や被害額が一定以上を超えないと支援内容が違ってくる。この仕組みは正しいのか」と集まった地元住民らに問いかけた上で「被災地の復興に全力を傾けていくことを約束する」と力を込めた。
厚真町に住む無職の男性(77)は「地震から半年たったが被災地は何も変わっていない。復興を前に進めるべきだ」と注文。苫小牧市の女性(77)は「復興を目に見える形で道民に示してほしい」と訴えた。
北海道が抱える課題は地震からの復興だけではない。全国を上回るスピードで進む人口減少がその一つ。約530万人の道内人口は45年に26%減の約400万人まで落ち込むとの推計がある。
鈴木氏は公約で、若者の活躍を応援する新たな組織をつくるとしている。北海道にゆかりのある法人や個人などからふるさと納税などの制度を使ってお金を集める「ほっかいどう応援団会議」の創設で必要な財源を調達する考え。鈴木氏は「あらゆるピンチをチャンスに変えるため、力を結集しなければならない」と語気を強めた。
石川氏はキャッチフレーズとして掲げる「北海道独立宣言」について「国と対立するわけではないが依存するわけでもなく、工夫しながら北海道を元気にしていきたい」との思いを込めたと説明した。道内の経営者らを集めた会議を年1回開き、人口減などの道政課題の解決策を決める「北海道経営会議」を掲げた。
人口減少対策としては若者同士をソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)でつなぐ仕組みを提唱。少子化では「雇用を確保して安心して子育てできる環境にする」と強調した。2人の息子を育てながら働くむかわ町の女性(46)は「自分が高齢になって働けなくなっても子供が安心して教育を受けられる環境にしてほしい」と要望した。
カジノを含む統合型リゾート(IR)の誘致を巡る問題では、鈴木氏が長所短所を勘案し総合的に判断すると述べる一方、石川氏は反対姿勢を示している。北海道電力の泊原子力発電所の再稼働では鈴木氏が原子力規制委員会の審査を前提に判断するとするが、石川氏は「脱原発」の立場を取る。JR北海道の路線見直し問題や社会保障なども争点となる。
4年に一度の統一地方選。2019年は統一地方選と夏の参院選が12年に一度重なる「亥(い)年選挙」だった。
関連企業・業界