ヒトへの投資、原資は200兆円 企業の背中押す投資家
ニッポンの賃金(下)
「上げ幅には驚きましたが、人材確保につながるのであれば賛成します」。ラーメン店を運営するハイデイ日高の島需一取締役は国内外の投資家にこう言われる。正社員を対象に1万円のベースアップを昨年実施。賃上げによるコスト増への反発が気がかりだったが、むしろ背中を押された。
満足度が株価に
店舗に人材が集まらなければ成長どころではない。パート従業員とアルバイトの時給も引き上げた。この15年、増収増益を続ける...
賃上げは賃金水準を一律に引き上げるベースアップと、勤続年数が上がるごとに増える定期昇給からなる。2014年春季労使交渉(春闘)から政府が産業界に対し賃上げを求める「官製春闘」が始まった。産業界では正社員間でも賃金要求に差をつける「脱一律」の動きが広がる。年功序列モデルが崩れ、生産性向上のために成果や役割に応じて賃金に差をつける流れが強まり、一律での賃上げ要求の意義は薄れている。