AI特化の起業支援会社、都内でイベント
香港を拠点に人工知能(AI)分野で起業を支援するZeroth(ゼロス)は、同社がアジアを中心に出資するAI関連のスタートアップが集まるイベント「ゼロスAIカンファレンス」を都内で開いた。ベトナムのフィンテック企業や監視カメラ映像を解析するインド企業などがAIの技術を生かした事業モデルを投資家らにアピールした。
18日のイベントには国内3社のほか、香港やインドなどのスタートアップ29社が登壇した。フィンテック企業のフィンヘイ(ベトナム)は利用者のデータを基にAIで資産運用を指南する「ロボット・アドバイザー(ロボアド)」を手がける。フイ・ニエム最高経営責任者(CEO)は「ベトナム人は消費より貯蓄を好む。インフレ率が高いため、銀行に預けるより資産を増やせる小口投資はニーズがある」と強調した。
ゼロスは創業初期の企業に経営アドバイスや資金などの支援をする「アクセラレーター」で、支援対象をAI関連のスタートアップに特化しているのが特徴だ。2016年の設立で、香港に加えて東京とインドで起業家支援のプログラムを設け、これまで約60社に出資している。
インドのディープサイトAIラボは、監視カメラの映像をAIでリアルタイムに解析するソフトウエアを提供する。銀行のATMや交通機関のカメラ映像に不審者がいれば検知して、スマートフォン(スマホ)などに通知する仕組みで、犯罪件数の減少につながるとアピールしていた。
ディープトレイス(オランダ)は深層学習(ディープラーニング)を使い、ネット上のフェイク動画を検出する。映像に映る人の顔が別人のように加工されている場合などに、加工の痕跡をAIが見つけるという。ジョルジオ・パトリーニCEOは「偽動画は世界でフェイクニュースや脅迫に使われ始めている。日本などアジアにも市場はある」と述べた。
日本からは、浄水場などで水質異常をカメラの画像から検出するAIを開発したAnytech(エニーテック、東京・渋谷)などがゼロスの支援を受ける。約3カ月のプログラムを終えたエニーテックの島本佳紀社長は「AIで分析するデータの集め方や、AIエンジニアを採用するノウハウでアドバイスを受けられた」と話した。