大雨特別警報の基準見直し 範囲を細分化
気象庁は、大雨警報の基準を大幅に超える雨で重大な災害が起こるおそれがある場合に出す「大雨特別警報」の発表基準を見直す。「50年に1度のレベル」としている指標を撤廃。危険性を判断する範囲を現在より細分化することで、市区町村単位でも発表できるようにする。近年被害が増えている局地的豪雨に対応する狙い。
同庁が19日、有識者らによる「防災気象情報の伝え方に関する検討会」で案を示した。都道府県などと調整を進め、準備の整った地域から運用を始める。「数年以内に全国で展開したい」(同庁)としている。
同庁は現在、日本全国を5キロごとの格子(メッシュ)に分け、10カ所以上で「50年に1度のレベル」の雨量が予想された場合に特別警報を発表している。
新基準は土壌に含まれる雨量など土砂災害の危険度を示す指数を使い、特別警報を出す基準の数値を各都道府県ごとに設定。最新の解析技術でメッシュを1キロ四方に細分化したうえで、10カ所以上で基準に達すれば特別警報を出す。現行基準より狭い範囲で判断でき、単一の市区町村でも警報が出せるようになる。
同庁は2013年8月から、重大な災害が予想される場合に特別警報を発表している。これまで21道府県で合計10回出され、18年の西日本豪雨でも11府県で発表された。
一方で、局地的な大雨で土砂災害や河川氾濫などの大きな被害があったにもかかわらず、基準の対象外で特別警報が発表されていなかった事例が過去6年間で7件あり、同庁が基準の見直しに向けた検討を進めていた。