新天皇、5月1日午前に初のおことば 退位・即位儀式
政府は19日の皇位継承に関する式典委員会で、天皇陛下の退位と新天皇の即位の儀式の詳細を決めた。新天皇が即位後に初めて三権の長ら国民の代表の前でお言葉を述べる「即位後朝見の儀」は5月1日午前11時10分から開く。服装はそれぞれの儀式の性格を考慮し、男性は即位では慶事に使うえんび服、退位ではえんび服に比べて略式とされるモーニングとした。
4月30日の「退位礼正殿の儀」は午後5時から皇居・宮殿の「松の間」で開く。宮中行事を統括する式部官長と宮内庁長官が先導し、侍従が歴代天皇に伝わる三種の神器のうち剣と璽(じ=まがたま)などを運ぶ。陛下は神器に触れない。皇太子さまに神器などを目に見える形で引き渡すと自ら皇位を譲る意思を示されたと受け取られ憲法に抵触しかねないからだ。
天皇陛下の最後のお言葉に先立ち、首相が国民の代表として皇室典範の特例法に基づく陛下の退位を表明する。参列者は三権の長、地方自治体の代表者とその配偶者ら338人を想定する。
翌5月1日は即位の儀式が続く。まず午前10時半から神器など皇位の証しを新天皇に引き継ぐ「剣璽等承継の儀」を催す。参列者は三権の長や閣僚ら26人。皇族は成年男性に限る。皇室典範は皇位継承権を男系の男子に限ると定め、1989年の「平成」への代替わりでも女性が参列しなかった。皇位継承権のない女性皇族の参列を認めれば、女性・女系天皇の是非をめぐる論争を招く可能性があるからだ。
剣璽等承継の儀に続き午前11時10分から「即位後朝見の儀」に移る。新天皇が即位後、三権の長ら国民の代表の前でお言葉を述べる最初の場だ。新天皇がお言葉を述べた後に首相があいさつする。退位礼正殿の儀と同じ338人の参列を見込む。
服装は儀式ごとに定めた。剣璽等承継の儀と即位後朝見の儀の場合、男性は新年祝賀の儀など慶事に使うえんび服や紋付き羽織はかまだ。女性はロングドレス、白襟紋付きなどと定めた。平成の代替わりでは、昭和天皇の崩御から準備期間が短かったため、男性の服装はえんび服より略式のモーニングだった。
一方、退位礼正殿の儀では男性はモーニングと紋付き羽織はかまとした。女性はロングドレスなどとともにデイドレスも加えた。山本信一郎宮内庁長官は1月の式典委員会で「お見送りの場としての性格があり、粛々と静かに執り行うのが適当だ」と、退位礼正殿の儀では簡素な服装が望ましいとの見解を示していた。
皇太子さまが国内外に即位を宣明される10月22日の即位礼正殿の儀への外国からの参列者の範囲も決めた。国交がある195カ国の元首ら祝賀使節夫妻と駐日大使、海外在住日系人の代表と定めた。即位礼正殿の儀は平成の代替わりと同様に国内外2500人程度の参列を見込む。国内の参列者は5月以降に固める。