九大・ハウステンボス、道案内ロボや自動車いす 共同実験
九州大学やハウステンボスは19日、日本版全地球測位システム(GPS)を担う準天頂衛星「みちびき」と、次世代通信規格「5G」を活用したロボットや自動走行の実証実験を伊都キャンパス(福岡市西区)で始めた。ロボットが来客を目的地まで案内したり、自動走行の車いすで高齢者の移動を手助けする狙い。将来は長崎県佐世保市のハウステンボスで実用化を目指す。
ロボット開発ベンチャー、リビングロボット(福島県伊達市)と九大が道案内ロボットを開発した。みちびきのGPSでロボットの位置を把握し、5Gで遠隔制御する。ロボットには全方位を撮影するカメラが取り付けられ、5Gを通じて映像をリアルタイムで監視できる。安浦寛人副学長は「大学内をロボが走り、来客を案内するサービスができるようにしたい」と話した。
九大で実験を進めつつ、2019年中にもハウステンボスで実験を始める。テーマパーク内をロボットが移動し、撮影した画像を体が不自由で家から出られない高齢者らが見て、孫らと観光を楽しんだりできる。テーマパークの省人化にもつながる。
九大などは自動走行の車いすを遠隔制御する実験も実施する。高齢者らの買い物を支援する。実験には5Gの提供でNTTドコモも参加し、三菱電機がデータ受信機で協力する。
昨年9月に伊都キャンパスへの統合移転が完了した九大は広大なキャンパスの敷地を都市の課題を解決する新技術の実証実験の場にするために企業との連携を深めている。
ドコモと実証を進めるAIで運行ルートを探索するバスが来年度から学内にサービスとして本格導入されるなど、実証実験の成果が実用化に結びついたケースもある。