辺野古移設で上告取り下げ 沖縄知事 首相に対話求める
安倍晋三首相は19日午前、首相官邸で沖縄県の玉城デニー知事と会談した。玉城氏は米軍普天間基地(同県宜野湾市)の名護市辺野古移設を巡り、政府が25日に予定する新たな海域への土砂投入の中止を求めた。工事を止めた上で移設に関して国と県で1カ月の集中協議をするよう要請した。玉城氏は翁長雄志氏が知事だった2017年に提訴して最高裁に上告中の裁判の取り下げも伝えた。
玉城氏によると首相は「折りをみて話し合いをしたい」と対話に応じる姿勢を示した。工事中止要求には回答しなかった。首相は政府と県、宜野湾市による「普天間飛行場負担軽減推進会議」に関して「日程調整している」と述べ、開催に前向きな考えを示した。
玉城氏が取り下げを伝えた裁判は17年に県側が「国が県漁業調整規則に反して無許可で海底の岩礁破砕を伴う工事をしている」と訴えて始まった。18年12月に福岡高裁が県の控訴を棄却し、県は最高裁に上告していた。
玉城氏は会談後、取り下げの狙いについて「訴訟合戦ではなく対話のための環境づくりにつとめる」と述べた。協議期間として1カ月を求めた。
県による埋め立て承認撤回を石井啓一国土交通相が執行停止し、県は提訴を検討している。22日がその期限だ。玉城氏は提訴するかは「首相の対応次第だ」と述べた。
今回の会談は県が要望していた。
8月25日告示、9月11日投開票の日程で実施される沖縄県知事選挙に関する最新ニュースと解説をまとめました。現職と新人2人の計3人が立候補を届け出ており、米軍普天間基地(宜野湾市)の名護市辺野古移設の是非や、新型コロナウイルス感染拡大で傷ついた県経済の回復が主要争点となりそうです。