皇位の安定継承策「即位後、時間を待たずに」 官房長官
菅義偉官房長官は18日の参院予算委員会で、5月1日の皇太子さまの新天皇即位後、皇位の安定継承策について速やかに検討に入る意向を示した。検討開始の時期に関して「ご即位された後、そんなに時間を待たないで」と語った。女性皇族が結婚後も皇室にとどまる「女性宮家」の創設などを巡っては慎重な見方を示した。日本維新の会の片山大介氏への答弁。
2017年に成立した天皇陛下の退位を実現する特例法は付帯決議で「安定的な皇位継承を確保するための諸課題、女性宮家の創設など」を挙げ、法施行後速やかに検討し国会に報告すると明記している。
菅氏は18日の参院予算委で「安定的な皇位継承を維持することは国家の基本にかかわる極めて重要な問題だ」と強調。「付帯決議の趣旨を尊重してしっかりと対応していきたい」と表明した。
一方、付帯決議をまとめる過程で当時の民進党が皇位の安定継承策として求めた女性宮家の創設には慎重な見方を示した。「男子継承が古来、例外なく維持されてきたことの重みなどを踏まえながら、慎重かつ丁寧に検討する必要がある」と語った。
菅氏はかつて「付帯決議の中で女性宮家と皇位の安定(継承)は分かれて書かれている」と語り、女性宮家と皇位の安定継承の議論は別物との認識を示している。
安倍政権内には女性宮家を認めると民間人の夫やその子どもが皇族に加わり、母方が皇室の系統を継ぐ女系や女性天皇を容認する議論につながりかねないとの警戒論がある。安倍晋三首相の支持基盤でもある保守層には男系男子の伝統が変わることへの反対論が根強い。
政府は即位日の5月1日に実施する「剣璽等承継の儀」に女性皇族を参列させないと決めている。皇位継承の証しである神器などを引き継ぐ同儀式に継承権のない女性皇族が出席すれば「女性・女系天皇の容認に転じたという印象を与えかねない」(政府関係者)とみるからだ。
首相は18日の参院予算委で、皇位の安定継承について「この課題への対応などは様々な考え方や意見がある」と指摘。「国民のコンセンサスを得るためには十分な分析、検討と慎重な手続きが必要だ」と述べた。
皇族数の減少は喫緊の課題だ。代替わりに伴い、皇位継承権を持つ男性皇族は皇嗣となる秋篠宮さま(53)、長男の悠仁さま(12)、天皇陛下の弟の常陸宮さま(83)の3人となる。現在18人から成る皇室の中で、未婚の女性皇族は6人。結婚による皇籍離脱があれば、皇族数は今後さらに減少する。
天皇陛下は16年8月のお言葉の中で「次第に進む身体の衰えを考慮する時、全身全霊で象徴の務めを果たしていくことが難しくなるのではないかと案じています」と退位の意向を示唆された。約30年続いた「平成」が始まった時、陛下は現在の皇太子さま(59)より4歳若かった。皇太子さまが即位後、象徴天皇として歩まれていくうえでも、高齢化に伴う問題は避けられない。