官邸の関与「認識ない」 毎勤統計の検討会元座長
毎月勤労統計の調査手法を見直す有識者検討会の阿部正浩元座長は18日の参院予算委員会で、2015年9月に示した中間的整理に部分入れ替え方式を加えたことに首相官邸の関与はなかったと説明した。検討会は同年8月時点では「総入れ替え方式が適当」と意見集約していた。野党は当時の中江元哉首相秘書官の指示があったのか追及している。
阿部氏は15年9月4日に厚生労働省の課長補佐から送られた「官邸関係者に説明している」とのメールに関し「当時は読んでおらず、返事もしていない。官邸の関与があったとの認識はなかった」と述べた。同14日の「委員以外の関係者から『部分入れ替え方式で行うべき』との意見も出てきた」と記されたメールには「誰を指しているのか分からず、関知していない」と語った。
野党はメールに記された委員以外の関係者は中江氏だと指摘している。阿部氏が統計問題で予算委に出席するのは衆参両院を通じて初めて。
統計手法の見直しを巡っては、15年9月14日に中江氏が当時の厚労省統計情報部長の姉崎猛氏に会い「部分入れ替えも検討すべきだ」と伝達した。調査対象事業所を部分入れ替えにしたほうが、総入れ替え方式よりも賃金水準が上振れしやすい傾向にある。18日の参院予算委で姉崎氏は「首相秘書官のコメントの前に(部分入れ替えの追加を)部下に指示した」と強調した。