アリババ、中国宅配大手に760億円出資 物流網強化
【上海=松田直樹】中国ネット通販最大手のアリババ集団は宅配大手の申通快逓(STOエクスプレス)に出資する。出資額は46億元(約760億円)。中国のネット通販は上海など都市部での成長は頭打ちで、今後は地方都市の顧客をいかに獲得するかが課題となっている。アリババは全国に宅配拠点を持つ大手との連携を強化することで地方でのネット通販の需要開拓を急ぐ。
アリババは申通の発行済み株式の約14%を取得する。申通は中国全土に約2万カ所の配達拠点を持ち、売上高では中国第3位の宅配大手だ。アリババは中国全土で注文から24時間以内の配送を目指しており、「出資により地方の宅配拠点の整備を強化する。物流技術の開発でも連携していく」としている。
アリババはこれまで宅配業者に物流を委託してコストを抑える戦略で事業を拡大してきた。ただ、自前で物流会社を持つネット通販2位の京東集団(JDドットコム)や、価格の安さを売りにする●(てへんに併のつくり)多多(ピンドゥオドゥオ)などとの競争が激化している。市場が成熟するなか商品の品質や価格だけでなく、配送サービスの質も利用者からは求められている。
さらに、成長の見込める地方や農村部の顧客を獲得するには中国全土での物流網の整備が急務だ。アリババの馬雲(ジャック・マー)会長は「今後、物流分野で1000億元(約1兆6000億円)を投資する。足りなければ追加投資も考える」と強調する。宅配業者に出資して経営に参画するほか、アリババ自ら物流拠点の整備や技術開発も手がけ、物流事業を強化していく方針だ。