旗ざお見えてもパット中かも 打ち込み事故に注意
ゴルフジャーナリスト 地平達郎
ゴルフ大好きの友人と会う機会があり、興味深い、考えさせられる話を聞いた。
年明けからしばらくして、仲間と初打ちに出掛けたという。勝手知ったるコースだが、久しぶりで、しかも寒さもあって、ショットが思うようにいかない。
あるホールで、2人がティーショットを曲げて林の中へ。苦労してやっとフェアウエーまで出てきたら、前の組は見えない。追いつかなきゃいけないと思ってグリーン方向を見ると、旗ざおが立っているのが見えた。
ホールアウトしたものだと判断した友人が打とうとすると、キャディーが叫んだ。
「待ってください。まだグリーンにいるかもしれません。見てきます」
と言うなり、少し先のラフの小高い所まで駆けていったかと思うと、「まだいます」とストップをかけたのだ。
「2打目から打ち上げでグリーン面が見えないホールなんだよ。しかもその日はカップが奥の方に切ってあった。それでも旗が見えたからホールアウトしたものだと思って打とうとしたら、前の組、まだパットしているっていうじゃない。キャディーに聞いたら、『年が明けてから、こういうこと、たまにあるんです』って言うんだ。新ルールでほら、ピンを立てたままパットできるっていうあれだよ」
そこからは、2019年から改正された新ルールの話に花が咲いた。
■米ツアーなどでも話題に
今回の改正はいくつかの大きいものが含まれている。ボールをドロップするとき、以前は肩の高さだったが、ひざの高さでOK。バンカー内のボールが(自分の判断で)打てない状態の場合、アンプレアブルを宣言し、2打付加してバンカーの外にドロップすることもできる。グリーン上で、旗ざおを刺した状態のままパットして打ったボールが旗ざおにあたっても罰打はない(以前は2罰打)。
アマチュアゴルファーも、この3つくらいはぜひとも知っておきたいところだ。この中で、米ツアーなどでも話題になっているのが、旗ざおを立てたままのパッティングである。というのも、ピンを刺したままの状態とピンを抜いた状態の、どちらがいいのかが議論されていて、刺したままの(ボールがピンに当たる)ほうが入る確率が高い――という説もあるのでややこしい。
旗ざおは、現にグリーン上でプレーしている人だけのものではない。時には、後続の組が、前の組がどのような状態なのかを判断する材料のひとつになる。前のホールのグリーンに旗ざおが見えなかったら、パットをしているので打ってはいけない。反対に、旗ざおが立っていたら、アプローチショットの段階ではない限り、原則的にすでにホールアウトしていて、後ろの組は打ってもいいという合図になる。
これに関連して、最初にホールアウトした人が旗ざおを持つときにもマナーがある。旗ざおの旗の部分を上にするのではなく、さおを水平に持つ、もしくは旗の部分を下にして持つようにするのがいいとされる。旗が上にあると、後ろの組がそれを見て打ってくる危険性があるので、打ち込み事故を防ぐために旗を見えないようにするのだ。
しかし、これらは昨年までの話。この1月からは全員がホールアウトするまでピンを刺したままでもプレーできるようになったので、友人のようなケースでトラブルが起きる危険性が高くなった。
「ロングパットはともかく、短いパットのときは今までどおり、早めにピンを抜いたほうがいいね。旗が見えたから打ったら、打ち込みになったなんて嫌だもんね」
最近多くなったセルフでのラウンドでは特に気を付けなくてはいけないだろう。