ボーイング期待の小型旅客機、半年で2度目の墜落
737MAX8、受注に影響も
【ニューヨーク=中山修志】エチオピア航空302便(乗員乗客157人、ボーイング737MAX8型機)が10日に墜落した事故で、米航空機大手ボーイングは同日、被害者と遺族への「心からのお見舞い」と原因究明への協力を表明した。昨年10月にはインドネシアでも同型機の墜落事故が発生した。主力機の事故が続いたことで、同社の受注や生産に影響が広がる可能性もある。
ボーイングは10日の声明で「乗員乗客が亡くなったことを深く悲しみ、心からお見舞い申し上げる。米運輸安全委員会(NTSB)の指示に従って技術的な協力を行う」とコメントした。
小型旅客機「737MAX8」は2018年10月にもインドネシアでライオン航空の運航便が墜落した。わずか半年の間に2度の墜落事故を起こしたことになる。インドネシア運輸安全委員会は18年11月の中間報告で、機体姿勢を認識するセンサーに誤った情報が入力され、墜落につながった可能性があると指摘した。正確な原因は引き続き調査中だ。
「737MAX」シリーズはボーイングが期待を寄せる最新の小型機で、高い燃費性能により新興国の格安航空会社(LCC)などから人気が高い。18年に引き渡した806機の約6割が同シリーズだった。日本でもANAホールディングスが21年以降に30機の導入を予定している。
世界の航空会社の旅客機需要は座席数200程度までの小型機シフトが鮮明だ。大型機で運航頻度が少なくなるよりも、小型機で頻度を多くした方が旅客にとって便利なため。旅客需要の限られる地方都市なども小型機の方が就航しやすい。
ボーイングと欧州大手エアバスはともに小型機市場が生命線となり、エアバスは2月に超大型機「A380」の生産停止を発表した。
ボーイングはインドネシアでの墜落事故後も「737MAXは安全だ」(デニス・ミューレンバーグ最高経営責任者)と繰り返し主張してきた。一方、米メディアは操作マニュアルや説明に不備があった可能性を指摘している。
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