能、狂言、文楽の競演「フィガロの結婚」を再演
能、狂言、文楽と西洋のオペラを融合した「狂言風オペラ フィガロの結婚」が16~24日、全国6都市で再演される。狂言風オペラは2002年に大蔵流狂言師の故・茂山千之丞らが始めた狂言師と西洋の管楽合奏の共演。18年の「フィガロ」で初めて能と文楽を加え好評だったという。芸術総監督を務める観世流能楽師で人間国宝の大槻文蔵は「ややもすれば水と油だが、能面と人形の作り出す世界が喜劇には合う」と話す。
物語の舞台をスペイン・セビリヤから京都に移し、好色な伯爵(在原平平)を文楽人形、伯爵夫人(北の方)を能楽師、フィガロ(太郎)やスザンナ(お花)などその他の登場人物は狂言師が演じる。伯爵のセリフは文楽の太夫と三味線弾きによる義太夫節、伯爵夫人は能の謡、フィガロやスザンナは狂言調と各伝統芸能のスタイルのまま演じる。能狂言と文楽は成立した時代が異なり、同じ舞台の上で共演するのは珍しいが「西洋音楽のアンサンブルが仲を取り持ってくれた」(文蔵)。
能楽師の赤松禎友、狂言師の茂山あきら、茂山茂、野村又三郎、山本善之、文楽の豊竹呂太夫、鶴澤友之助、桐竹勘十郎が出演。演奏はスイスを拠点にするクラングアートアンサンブルの管楽八重奏が担当する。
(小国由美子)