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パキスタン、過激派44人拘束 緊張緩和を模索

砲撃続きインドは警戒継続

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【ニューデリー=黒沼勇史】パキスタン内務省は5日、カシミール地方のインド側の警察隊を襲撃したテロ組織関係者ら過激派44人を拘束したと発表した。過激派対策を求めていたインド側に歩み寄る姿勢を示した。パキスタン側は召還していた駐インド大使の復帰も発表し、緊張緩和を探るが、同地方では6日も砲撃の応酬が続いており、インド側は警戒姿勢を解いていない。

パキスタン内務省は、過激派44人を対象に「捜査のための予防的拘束を行った」と発表した。同国が本拠のテロ組織「ジャイシュ・ムハンマド」(JeM)のトップの兄弟と息子も含まれる。JeMは2月14日にカシミールのインド側で自爆テロを実行し警察隊約40人を殺害。インドは報復として2月26日にパキスタン領を空爆した。

パキスタン外務省も5日、2月に召還した駐インド大使を復帰させると公表した。インド人シーク教徒によるパキスタン側への聖地巡礼についても、印パ関係者が3月14日と28日に相互の首都を訪れ協議するとした。印パの外交チャネルが機能していると示した。

パキスタンが過激派拘束に踏み切った背後には米国の圧力があったようだ。米国務省報道官は5日の記者会見で「ポンペオ国務長官が外交的に直接関与し、印パの緊張緩和に不可欠な役割を演じた」と述べた。米国が最大の出資国となっている国際通貨基金(IMF)に対し、パキスタンは財政支援を要請しており、緊張緩和への積極的な姿勢を示す必要があったとみられる。

もっとも、過激派の拘束について、インド側はまだ不十分と認識している。インド政府関係者は6日、日本経済新聞の取材に対し、外交面と軍事面の両方の圧力を「当面維持する」と話した。パキスタンは以前にも、JeM構成員を逮捕したが「すぐに解放した。今回はテロリストとテロ組織に対する検証可能で、信頼に足る行動を求めている」と話した。

現地報道によると、カシミールの実効支配線をはさんで続いた印パの砲撃戦は5日夕にいったん途切れたが、6日午前に再び始まった。インド陸軍の退役軍人で安全保障アナリストのボスレ氏は、印パ両軍の間には「ホットラインはあり、電話で砲撃をやめると言えば済む話だが難しいようだ」と指摘。今後も「散発的な砲撃は続く」とみる。

今後の焦点は、パキスタンがJeMトップの拘束に踏み切るか、10日前後とされる「予防的拘束」の期限までにテロ組織に対する徹底した対策を講じて米印を納得させられるかに移る。パキスタン軍はインドを攻撃するテロ組織と水面下で関係を保ち、支援してきた経緯もあり、関係を断ち切るのは容易ではないとの見方が多い。

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