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村田「ボクサー人生、ここから」 再起の鍵は重心

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米ラスベガスでの王座陥落から4カ月余り。世界ボクシング協会(WBA)ミドル級前チャンピオン、村田諒太(帝拳)が再起の道を踏み出している。虎の子のベルトと引き換えに、あの屈辱的敗北で人知れず手にしたものがあった。逆襲を誓う33歳は言う。俺はまだ終わっていない、いや、ここから始まるんだと――。

「4スタンス理論」に手応え

「年が明けてから時間がたつのが早く感じる」と村田は言う。それは、この男の中で止まっていた時計の針が再び動き出したということだろう。まだ本格的なスパーリングも始めていないが、「この1カ月くらいで、よし、俺いけるぞ、と思えるようになってきた」。そう語る表情に以前の明るさが戻ってきた。

昨年12月4日に行った現役続行の記者会見。「このままでは終われない」と再起を宣言しながらも、一方で「この先何をモチベーションにしていくのか、そこはなかなか難しい」「まずは練習していく中で、もう一度やっていけるのか見極めたい」など、いまひとつ煮え切らない言葉が報道陣を困惑させた。「練習を再開したばかりで、この先の自分に伸びしろがあるのかどうか、確信を持てなかった。あのときの正直な気持ちだったと思う」と村田は振り返る。つまり、その後の村田は「いける」と思える何かを見つけたのだ。

2月初旬、村田はアポイントを取ってプロゴルファーの横田真一氏に話を聞きにいった。コンディショニングトレーナーの広戸聡一氏が提唱した「4スタンス理論」について聞くためだった。4スタンス理論とは、人間は先天的に体の使い方や体重のかけ方、動きやすいフォームというものが人それぞれ異なっていて、4つのパターンに分類できるという考え方である。横田氏はゴルファーとして同理論を学び、ゴルフレッスンに生かした教本も執筆している。

横田氏のもとで体をチェックしてもらった村田は、自分の重心がかかと寄りになっていることを知らされた。これは真っすぐ立とうとするとおのずと後傾してしまう。ボクシングでは相手に押し込まれたときに踏ん張りが利かないばかりか、自分のパンチにも体重が乗らない。183センチの長身と持ち前の圧力を武器にした、それまでの背筋を立てたアップライトな構えは、実は村田には合っていないことが明らかになったのだ。

「自分が(4パターンの)どれに分類されるか、横田さんの話を聞くまでは全然気がつかなかった。自分のことが一番わかっていないものだな、と改めて気づかされた」と村田は言う。この理論に従えば、一般的に理想とされる動きをマネして動こうとしても、自分の体形や骨格に合っていなければ、いい動きはできないことなる。「この前の試合のように上体が突っ立った構えで攻めていくのは、僕の場合は絶対にダメだとわかった」。映像で見返したロブ・ブラント(米国)戦の自分は、まさにそれだった。

横田氏のアドバイスを聞いてからは、練習でもはっきりと手応えを感じ取れるようになった。元来かかと寄りの重心を補完するという点で意識しているのは膝だという。「膝をちょっと曲げてゆとりを持たせてやる。それだけでスクワットをやっても違和感がまるでない。今までは必要以上にハムストリングに負荷がかかっていました。自分の体の使い方とか動きの癖を見直したうえでやると効果も全然違う」。最近はあまり取り組んでいなかったフィジカルトレーニングも、ジムワークと別に週2回入れるようにしている。

ブラント戦前から漠たる違和感

ブラント戦の不出来は、自分自身に失望を覚えるものだった。ただ、実はブラント戦の前から漠たる違和感を抱えてきたのだという。

「しっくりいっていない感覚はずっとありました。プロになってからいい試合だったと思えたのは、アッサン・エンダムとの第1戦(2017年5月、WBAミドル級王座決定戦)含めて2、3試合しかない。初防衛戦のエマヌエーレ・ブランダムラ戦(18年4月、8回TKO勝ち)も倒したパンチがたまたまよかっただけ。内容は全然よくなかった」。満足いく内容だったかどうかの線引きは、パンチに体重が乗っていたかどうか、そしてパンチのコンビネーションや打ち終わった後のボディーワークやステップなど、動きの連続性があったかどうかだ。いずれも重心の問題と大きく関連しているという。

「ようやくこれだというのが見えてきた。今はブラント戦のときとは比べものにならないくらい、いい状態だと思う。やっと自分の体の使い方が明確になった。もう、ぶれることはない」

いい汗がかけると、気持ちも乗ってくる。現役復帰会見では「最近、ハングリーさに欠けていた」と語っていた。お金やモノという意味なら村田はもう満たされているかもしれない。ただ、本人の言葉を借りるなら今の村田は「ハングリー」な状態を取り戻したという。

「ハングリーかどうかって、何かを求めていればハングリーなわけです。自信があればああやろう、こうやろうと自然と前向きにもなれる。体がしっくりきていないと、何かを求める気にもならないんですよね。(プロゴルファーの)青木功さんが『心技体じゃなくて体技心』と言っていたけれど、まさにその通り。体の状態がよくなって技量が伴ってくると、心もついてくる。カネロ(サウル・アルバレス=メキシコ、ミドル級2団体統一王者)とだって、今はやりたいと本気で思っています」

ベルトを奪われたブラントが2月15日、地元ミネソタ州で初防衛に成功した。ビジネスの絡むマッチメイクは常に不透明だが、早ければ夏までに再戦する可能性もある。「勝ってくれてよかった。あんなのに負けたまま終わるのは嫌なんで」と村田は言う。ただ、それは雪辱への思いかと問われれば、少し違う。

「(人気選手が多いミドル級で)単純にタイトルマッチをできる可能性が一番高い相手だから、という意味だけ。あいつに対するこだわりは全くない。あの試合については、情けないとは思っていても、悔しいとは思っていない、というのが自分の正直な気持ちなんです。自分の本当の実力を出してぶつかり合って負けたら悔しいと思うけれど、そんな感情もわき上がってこない」

対戦相手よりも自分の側に敗因

はた目には12ラウンドを通じて1200発以上ものパンチを出したブラントにボクシングの幅の差を見せつけられた試合だったが、村田自身は対戦相手よりも自分の側に敗因があったと受け止めているのだろう。そして長らく抱えてきた己のボクシングに対するかすかな不信を解決する発見があった今、ここから先のボクサー人生を自分の手で作り上げていきたいと思っている。1月で33歳になったが、肉体的な衰えも全く感じていない。

「まだまだやれる? やれるも何も、やっと始まったなという感じです。やっと自分のことを理解できて、ここから自分で自分のボクシングを積み上げていくんだと。北野武監督のボクシング映画『キッズ・リターン』で、主人公が最後に『まだ始まっちゃいねえよ』っていうじゃないですか。本当にあんな気持ちです」

(山口大介)

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