建築界のノーベル賞に磯崎新さん 東西融合のデザイン
【ニューヨーク=共同】建築界のノーベル賞といわれ、優れた建築家に贈られる米プリツカー賞の今年の受賞者に、磯崎新さんが選ばれた。主宰するハイアット財団が5日発表した。磯崎さんはポストモダン建築のリーダーで、東西の文化の垣根を越えたデザインで知られる。日本人の受賞者は8人目。授賞式は5月にフランスで開かれる。
審査員団は授賞理由で磯崎さんが「有意義な建築」を探求し続けていると指摘。この姿勢により「磯崎さんの作品は進化し続け、常に取り組み方が新しい」と評価した。
磯崎さんは1931年大分市生まれで、東大大学院博士課程修了。丹下健三さんに師事し、63年に磯崎新アトリエを設立するなど60年代以降、多くの作品を手がけた。代表作に大分県立大分図書館(現アートプラザ)、群馬県立近代美術館、つくばセンタービルなど。
ロサンゼルス現代美術館、バルセロナ五輪屋内競技場など海外でも活躍。96年のベネチア・ビエンナーレ国際建築展では日本館コミッショナーを務め、阪神大震災の廃虚を再現した展示が金獅子賞を受けた。トリノ冬季五輪競技場なども話題になった。
ハイアット財団は、磯崎さんの建築家としての成功は第2次大戦で廃虚となった日本が復興を目指していた時期に始まったと紹介。西洋文明が東洋に影響を与えていた時期に、日本国外で仕事をした最初の日本人建築家たちの一人だとした。
また、磯崎さんが人々の暮らしを感じようと、イスラム諸国や中国の山間地の村、米国の大都市などを訪ね歩きながら「建築とは何か」を考え続けてきたと指摘した。
米プリツカー賞は日本人では丹下さん(87年)のほか、槙文彦さん(93年)、安藤忠雄さん(95年)、建築ユニット「SANAA」(妹島和世さんと西沢立衛さん、2010年)、伊東豊雄さん(13年)、坂茂さん(14年)が受賞している。